この話題については、そのうち、書こう、書こう、と思いながら書けないでいた。
理由は至極単純で、「わからない」からである。
書いている今も、よくわからないで書いているので、何とも情けないのだが、敢えてそのことを隠さずに書いてみたい。
わからない点、その1。
既に公務員に対しては国家公務員法などで「守秘義務」が課せられているし、それに違反した場合の罰則もある。もし、この罰則が他の国々よりも緩い、ぬるい、というのであれば、これらの既存の法律を改正すればいいのであって、どうして、新しい法律を作らなければならないのかがわからない。
わからない点、その2。
この法律では、公務員だけではなく、民間人も罰則の対象となる。具体的には、公務員に対して秘密を漏らさせるよう「教唆(そそのかす)」したり「扇動」したりした場合は、それが未遂に終わったとしても罰せられることになっている。
しかし、外交や防衛など幅広い分野において何十万とある特定秘密について、そもそも民間人がどれが「特定秘密」なのかは知り得るはずもない。何を教唆、扇動と言うかはよくわからないが、知ろうとする行為そのものが制限されることになりはしないか、という懸念はぬぐえない。
わからない点、その3。
最もわからないのが、特定秘密とは何か、ということだ。
法案を読んでも、政府は「具体的に列記した」と言っているわりに、「安全保障に関する重要な情報」や「防衛に関して収集した重要な情報」といった抽象的な表現が多く、これを「抜け穴」、「なんでもあり」と指摘する方々も多いのも頷ける。
全体としてみれば、「特定秘密」という得体の知れない情報のために、公務員だけではなく民間人まで罰せられる法律が出来上がるということになろうか。
法案を読んでいて、ある種恐ろしさを感じたのは、特定秘密に関わる人間は適正評価を受けなくてはいけないことになっていて、その評価の中身は犯罪歴といったことだけではなく、「飲酒の節度」にまで及ぶということだ。
しかし、これほど不明瞭な法案が、連日マスコミを賑わせているわりに、国民の関心はそう高くはないようにも見える。
増税やTPPなど、自分たちの生活に直接影響があるようなニュースとは違い、どこか「遠くの」ニュース、自分たちには関係の薄いニュースとして捉えてしまっているのではないかと思える。
国会審議は始まっているが、こういう法案が国民の目をすり抜けて、スルッと成立してしまうことがないよう、国民の皆さまも十分な関心を持って、この法案の行く末を見守っていただきたいと思う。
外交や防衛、テロなどはもっぱら国がその業務を担い、地方自治体はそうした業務を担うことも、特定秘密に関わることも少ないだろうとは思うが、仮にどこかでテロが起きようとも、それは「地方のどこかの現場」であり、その被害に遭うのは、間違いなくどこかの市町村の住民だ。
その意味では、この特定秘密保護法案は単に「国の法律」や「国任せの法律」ではなく、地方自治体としても注視し、様々な想定をしておかなくてはならないものだとも感じる。
私自身も県民の皆さまの安全を守るという責任の一端を負う者として、この法案の影響が現場のどの場面にどんなふうに現れてくるのか、しっかりと想定し、研究していこうと思う。