視察。
よく使われる言葉ですが、これが、役所や議会で使われると、急に「なにやらインチキくさい」感じが漂ってくるのではないでしょうか。
結局それって、「税金使って旅行行くんだろ」というような。
そういう厳しい目線が一般的である、という前提に立って、我々議員は、「視察」の目的や内容、得たものなどを、出来る限り県民の皆さまに説明をしていく必要があります。
先週は、北秋田市、大館市、鹿角市といった県北部を中心とした産業労働委員会の視察に行ってきました。
その前に。
視察の内容を説明する人はいますが、そもそもこの、「議員さんの視察」というのが何のために、どういうふうに行われているか、まで説明する人はなかなかいないのではないでしょうか。
そこを皆さまにご説明するのが、私の仕事、という気もしますので、まずはその「そもそも」や「必要性」について、ここに簡単に書きます。
委員会としての視察は、各議員に県から旅費・宿泊費が支給されます。
また、慣例として、毎年、県内を2回、県外を1回、委員会としての視察を行うことになっています。
県議会には、6つの常任委員会があり、この6委員会がそれぞれ、3回ずつ、合計18回の視察が県議会では毎年行われていることになります。
この18回の視察に要する旅費等の費用は、県議会事務局が毎年予算を確保しています。
視察の目的は、それぞれの委員会が所管する業務・分野について、現地に行き、関係者と意見交換などを行い、県の予算や政策を、現場の目線からチェックをする、確認するということです。
このほかに、最近問題となっている「政務調査費」が議員個人に支給されており、議員は、この政務調査費から旅費を出して、様々な場所に行き、調査や聞き取りを行うことができます。
私が議員になる前から不思議であったのは、この政務調査費があるのだから、別途、県から旅費をもらって、委員会の視察を行う必要はないのではないか、ということでした。
しかし、これについては、議員になってみて解ったのですが、委員会として視察に行くから、得られる情報がある、逆に言うと、県議会の公務として行くから見せてもらえる場所や、話してもらえることがあるのだな、と感じました。
たとえば、今回の産業労働委員会の視察では、小坂製錬や十和田ソーラーといった企業を訪問し、生産ラインや商品を見せてもらいながら、経営や販路の話なども伺ってきました。
こうした企業には、当然、社外秘の情報なども多いわけですが、これを、沼谷純個人で視察に行こうと思っても、議員一人、個人のために会社がいちいち対応などはしていられません。
そうした意味で、委員会として視察に行くことそのものは意味があることだ、と私は今判断しています。
次の疑問として、仮に委員会として視察に行くとしても、その経費はそれぞれの政務調査費から出せばいいのではないか、とお思いになる方も多いのではないでしょうか。
これについては、確かに、私もそう思う部分があります。
曖昧な表現になってしまうのは、私自身、まだ政務調査費について、確信的な結論を得ていないからです。こういう自分の中の曖昧さも隠さず正直にお伝えしていきたいとは思っていますが、この点については少々お時間をいただきたいと思います。
議会として行う公務(視察)と、議員個人が自分の一般質問や政策立案のために行う政務(視察)。
一応はこういう切り分けになっているわけですが、どちらも元は税金・・・・
もう少し考えてみます。
さて。
「視察」についての私なりの情報公開は今日はここでいったん終わらせていただき、最後に今回の視察の内容などについて書きます。
小坂精練では、リサイクルの流れについて学びました。
国内・海外から、廃基盤や携帯電話、車の部品などを買い取り、それを粉々にし、溶かして、金や銀などを取りだし、「のべ棒」にし、それを売るというものです。
つまり「原材料」としての廃基盤などの仕入れ価格と、「製品」としてののべ棒の販売価格の差が、「売上」ということになります。
また、、十和田ソーラーは、昨年度設立された会社で、ソーラーパネルの製造や、パネルと蓄電池を組み合わせた「独立電源システム」の販売を行っています。ソーラーパネルの製造ができる県内唯一といってもいい会社ですが、全国的に見れば、後発メーカーということになるので、オリジナル性を高めてニッチの部分を狙っていきたいということでした。
私からは、こうした分野・工場で必要とされる人材や、そのための雇用訓練といったことについて質疑をさせていただきました。
最後に、グリーンフィル小坂。これは、例の焼却灰が埋め立てられている廃棄物最終処分場です。
これも現地を見せていただき、セシウムが検出された焼却灰が埋め立てられた場所などを確認してきました。
一般廃棄物や産業廃棄物を受け入れ、埋め立て、その料金を徴収することで、利益を上げるというのが基本的な流れになるわけですが、この料金がいくらぐらいになるか、という私の質問には「経営上の問題なので差し控えさせてもらいたい」という説明が会社側からありました。
一企業として、というふうに考えれば、当然、料金設定は企業秘密ということになるのでしょうが、今のこうした原発問題に揺れている日本列島、そして我が秋田県という意味から言えば、県民の皆さまが大変不安に感じていることもまた事実です。
どこからどういうものを受け入れ、そのためのコストやリスクはどうか、あるいは雇用面での地域への貢献、税収面での貢献といった基本的なことは、何らかの形で、出来る範囲で今後公開していってもらえることを期待しています。
県でも灰や牛、汚泥などの問題に対応するため「放射線対策チーム」が設置されました。
「対応」の中には、県民の皆さまへの「情報公開」も含まれていることを念頭に置きながら、進めていっていただきたいと思います。