改めて。
短い臨時議会ではあったが、「なれあい議会」を批判してきた民主党会派代表として、今回の議会を総括したいと思う。
まず、議員報酬のカットについて、報道されていない私自身の本音も含めて報告を。
私たち民主党は選挙戦において、「議員の仕事と報酬そのものを見直すべきだ」と主張してきた。
しかし、今回の臨時議会では、月額78万円という報酬そのものを減額するという提案をせずに、「期間限定での暫定的なカット(25%)」という提案をした。
これはなぜか。
そもそも議員の報酬が高い、などという主張をしても、自民党を中心とした「現状維持」派とは平行線となる可能性が当初から濃厚であった。
だからこそ、「本県の経済情勢」を判断し、震災後の復興のために、「まずは1年、25%カット」を提案をした。
つまり、敢えてそもそも論をやらずに、現状維持派も「乗りやすい」はずの、本県の経済情勢悪化しという理由をつけた。
そして、それを自然体で判断してもらうため、民主党会派からは自民党も含めた各会派に対しては、根回しのようなことは一切しなかった。
結果、ほとんどの会派が「5%カット」という案に賛成した。
少しでも多くの賛同を得ようと思えば、「10%」という着地点で各会派と調整するという手もあったかもしれない。
しかし、私としては、「この状況下で、1年限定で、25%カット(年額200万強)するぐらい何も難しいことはないだろう。5年、10年と言っているわけではないのだから。これほど乗りやすい案もないだろう」という想いさえあった。
本会議でのそれぞれの主張については、県議会HPをご覧いただくとして、ここでは詳しく述べないが、自民党の主張には大きな問題点が2つあった。
1つは、提案理由と提案内容が大きく矛盾していること。
本会議場において自民党は「本県の経済情勢を勘案して議員報酬をカットしてきた」と振り返り、そして、今を「震災後の本県の経済情勢は日銀の分析その他を見ても非常に厳しい、悪化している」と分析した。
その上で、「従来どおりの5%カット」を提案したのだから、これでは分析結果と、提案内容がまるで矛盾している。
2つめは、「時間」に対する意識が欠如していること。
「秋田の経済復興の財源をどう捻出するかについては、議員報酬のカットではなく県財政全体の問題。そこを議論すべきだ」と主張されていたが、さて、ではこの県財政全体の見直しや、そこからの財源捻出などはいつどうやって行うというのか。議員報酬カットで生みだされる財源はスズメの涙だ、全体の見直しが必要だ、と言っているだけでは、ただの1円も新たな財源は生まれない。
もし、「カットで1億円生みだす」という私たちの提案を否定するなら、県財政全体の見直しについての工程や手法も合わせて示すのが最低限の責任ではないか。
県財政全体の見直し、議員の仕事と報酬の見直し、そうしたそもそも論は大いに結構だが、そんな時間の余裕は今の秋田にはないと私は思う。
だから私は討論において「そもそも論をすべきだが、本県の経済情勢はその議論の結果を待ってはくれない。まずは私たちがすぐにでも出来ることからやろう。秋田の経済復興こそが私たちの4年の使命だ。漫然と現状維持を続けることは県民の理解が得られない」と訴えた。
結果、私としては、理解しがたい提案が「数の論理」によって可決してしまったわけだが、この問題をこれで終わらせるつもりは毛頭ない。
議会の場では、40対4で否決されてしまったが、これが、40対108万県民+4になるように出来る限りの努力をしていくつもりである。
すっかり長くなってしまったが、議員報酬以外の政策的なことについても少し補足したい。
防災について。
被災地支援のために県が備蓄していた物資を提供したが、今回、提供して無くなった物資を買い足すための予算が計上され、総務企画委員会において審議をされることになっていた。
この備蓄物資は、現在の県の防災計画に基づいた備蓄量である。
しかし、今の防災計画は今回のような震災は想定しておらず、対応もできていない部分もある。だからこそ、県は防災計画を見直しに着手した。
つまり、今のままの備蓄量では、今回のような震災に対応できない恐れがある。
私は、「予算計上されている備蓄量では不足ではないか。計画を見直すまでには2年以上かかるが、その間に今回のような震災が起きたらどうするのか。今のままの備蓄量で十分か、あるいは、物資だけでも計画見直しに先行して備蓄量を増やす、といったことについて、総務企画委員会で議論はしなかったのか。」と問いただしたが、総務企画委員長からは「そうした議論はなかった」との回答であった。
議会のチェック機能という面で、これも非常に残念な点であり、私としては6月議会においてもこの問題は引き続き取り上げていきたいと思う。
最後に。
議会の会期について。
自民党から「年4回、合計約120日となっている議会の会期を、年2回程度にし、日数を倍にしたい」という提案があった。
私は、どんぶりの器だけが大きくなって、その中身の量が変わらないような、まさに「どんぶり勘定」的な会期延長であってはならないと思っている。
問題は、4回か2回か、ではない。
日数だけを形式上増やしたところで、中身が伴わければ意味がないどころか、無駄なコストだけが発生する。百害あって一利なし、だ。
つまり、会期を変えるというのは、議会のあり方、討論のあり方、議員の仕事と役割そのものを議論するということだ。それこそまさに、自民党が議員報酬カットの際に論じた「全体の問題」というものであって、単に「知事の専決処分が防げる」といったような議会の「メンツ」が動機であってはならない。
よって、我が民主党会派としては、会期をどうするか、だけではなく、上記のようなそもそも論についてもセットにして、一定の対案を出したいと考えている。
新人ばかりの小さな政党ではあるが、「よく回るコマ」のような存在でありたいという当初の想いのままに、これからも全力でやっていこうと思う。
何もかも緒に就いたばかり、だが、時間は止まってはくれない。
そういえば、ある大手中華チェーン店の店長が「スピード感の中でしか人は育たない」と言っていたのを今思い出した。