原発の影響はどこまで広がるのか。
放射能あるいは放射性物質が、私たちの生活の中に気付かないうちに入り込んでいる。
私たちが作り上げた、流通や消費、生産のシステムの中に、いつの間にかもぐりこんでいる。
汚染されたワラを食べた肉牛、そして、秋田県に運び込まれていた焼却灰・・・・
ここまで影響が広がるとは、誰も思っていなかったのではないだろうか。
しかし、こんな時だからこそ、何が危険で、何が安全なのか、正しい情報が何で、どういう行動を取ればいいのか、行政や政治は、国民や県民に正しく、そして出来る限り早く伝える必要があるだろう。
秋田県に運び込まれた焼却灰。
これについて、私は県及び大館市からの情報提供・説明が不足しているように感じる。
報道によれば、「千葉県流山市から運び込まれた焼却灰に国の基準を上回る放射性物質が含まれていた」のであり、「既に埋め立てられた分は現状のまま管理」、そして「3台のコンテナに入った状態のものは流山市に送り返す」のであり、「今後は、サンプル調査をするなどして安全なものしか受け入れない」といったことになっている。
県のHPでは、現在、第4報まで情報が更新されているが、第2報では、この3台のコンテナのほか、茨城県から運び込まれた別の2台の周囲からも通常を超える放射線量が計測された、とある。
さらに、第3報では、さらに首都圏から15台の焼却灰入りコンテナが運び込まれている、とあり、これらについての放射能の状況は調査中、となっている。
そして、第4報では、15台に加え、さらに6台が運び込まれ、あわせて21台を計測したところ、コンテナから1mの付近では、標準以上の放射線量が計測されたが、15m離れると標準の範囲内に収まった、とされている。
さて。
県からの公式情報はこの第1から第4報までの発表だけだ。
大館市のHPを見たが、見たところ、HPには一切、この件に関する情報は掲載されていない。
県民の皆さま、どうでしょうか?
ごく当然の疑問、根本的な疑問を感じるのではないか。
「そもそも、なぜ、こうした焼却灰が大館市に運び込まれることになったのか。」
「運び込まれる以前に気づくことはできなかったのか。」
「これによる人体への影響や被害はないのか。15mの根拠はなにか。」
「民間業者任せなのか、県や市はこの焼却灰の処理について、これまでどういう関わりをしてきたのか。」
「大館市以外にも、こうした焼却灰が運び込まれる市町村はあるのか。」
残念ながら、県も市もこうした疑問に答えていない。
そもそも、のところから正確かつ迅速に情報を提供せずに、ただ「計測結果」や「運び込まれたという事実」だけを提供するから、なおさら県民の皆さまの不安を煽るのではないか。
私は、上記のようなことについて、佐竹知事が臨時の記者会見を開き、県民の不安を取り除く責任があるのではないかと感じるのだが。
なお、こうした疑問については、私なりに県担当課に直接聞き取り等を行ってはいますが、それについては、もう少し追加で確認したいこともあるので、その上で、明日にでもこの場で報告させていただきます。
その前に、県民の皆さまの疑問や不安を解消するような形の報道発表がしっかり為されることを期待していますが・・・
「闘う知事会」
そう言われていた頃があった。
それほど、昔の話ではない。たった数年前の話だ。
平成16年に、当時の小泉首相の下で、「三位一体改革」というものが行われた。
小泉首相と言えば、郵政民営化のイメージが大変強いが、一連の構造改革の中で、この三位一体改革は、
・国が使い道を縛っている地方への補助金を減らしましょう。
・その減らした分は、地方が自由に使える財源として地方に渡しましょう。
・そうやって、地方が自由に使える財源が増えたなら、地方の財源不足を補てんする地方交付税もちゃんと見直し(減らし)ましょうね。
という3つの改革を一体でやりましょう、というものだった。
私は、ちょうど、この三位一体改革の時、全国知事会の担当をしていた。
地方は揺れた。
地方が国に頭を下げ続ける理由は、「法律」と「財源」だ。
解りやすく言えば、「老人福祉法」という法律によって、老人ホームをはじめとした様々な福祉施設の基準が決められている。廊下の幅まで決められている。
そして、その基準を守って、つまり、国の言うことさえ聞いていれば、その施設を作るための補助金が国からもらえた。
そういうふうにして作られてきた国と地方の関係を、「財源」という部分で地方を解き放つという意味を持つものだったが、一方で、「補助金が減る」という恐怖感、そして、本当に「地方の財源が増えるのか」という猜疑心が地方に渦巻いた。
結論から言えば、確かに補助金は減った。しかし、財源はほとんど増えず、地方交付税も減った。
つまり、地方の台所事情は、この小泉改革によって一気に苦しくなった。
あまり光が当たらないが、民主党政権になり、この地方の台所事情は確実に改善している。小泉改革によって削られた地方交付税は、民主党政権に変わってから、再び充実傾向にある。
今、秋田県が、医療や農業に関する莫大な基金を積み立てたり、経済対策に関する多額の補正予算を組めるのも、こうした地方交付税の回復によるところが大きいということになる。秋田の税収は減少の一途をたどっているのだから。
少々話が逸れてしまったが、この三位一体改革の時、地方は「補助金を削る」という作業を自分たちで行わなければならなかった。
だから全国知事会が揺れた。
地域によって、もらっている補助金の種類も、そして額も違う。
A地域にとっては不要の補助金でも、B地域にとっては重要な補助金ということもある。
まさに「知事同志の喧嘩」、怒号が飛び交うような殺伐とした雰囲気の中で、深夜まで47都道府県の代表が激論を交わし、そして、結果として、削るべき補助金の種類・総額をまとめた。
個別の利害を超えることができたたった1つの理由は、「地方がまとまらないようでは、国に要求することも立ち向かうこともできない」という、知事たちの強い、そして共通の危機感だったように思う。
さて。
そんなことを想い返しながら、本県開催となった全国知事会議の議論を垣間見る。
正直、まったくもって情けない。
こんなものか、というのが偽らざる感想だ。
政府を批判するのもいい。国が方針を示せ、と迫るのもいい。ないないづくしだ、とマスコミ受けしそうな言葉を並べるのもいい。
しかし、しかしだ。
この一刻の猶予もならない時期に47人の知事らが集まって、国の原発対応がおかしい、国としてエネルギー政策をどうするか示すべき、いまさらストレステストかと怒るだけで、そう言っている自分たちは、「原発が必要かどうか」、「将来的に原発を卒業すべきかどうか」といった基本線さえ打ち出せなかった。
これこそまさに「おねだり型」の地方政治そのものではないか。
めいめい勝手に、アピールだの宣言だのを出して、自分の、あるいは自分の地域のプレゼンスを高めていればそれでいいのだろうか。
この時期に知事が一堂に会する意味というのは、「地方として将来の日本のエネルギー政策かくあるべし」、「個別の利害を超えて地方として、リスクも背負う」という意思を明確に示し、それをもって、国に激しく詰め寄るということにあったのではないか。
原発立地地域の知事、そして、それ以外の知事、それぞれが個別の利害や主張に終始し、「地方」としてのまとまりを全く欠いたこのような知事会は、単なる「サロン」となっていないか。
国会は、衆参あわせて722人の政治家で、1億2千万国民の意思を代表している。
知事はたった47人で1億2千万の意思を代表している。
その重さ、職責はある意味では国会より重いと私は思っている。
是非、知事たちの本気を見せてほしい。
「原発をどうするのか、どうすべきか」 それは国が決めてください、地方はみんな意見がバラバラなので、国が決めてくれたことになんだかんだ言いながらも最後は従います、ではあまりに情けない。
溜息をつきたくなるような、悲鳴をあげたくなるような暑さが続いている。
しかも、梅雨明け、だそうだ。
例年より2週間以上早い梅雨明けとのこと。
よりによって、という気がしてならない。
どこもかしこも、扇風機が飛ぶように売れ、売り切れ御免の張り紙が目立つ。
神は、この夏、我々日本人をとことん試そうとされているらしい。
1つの地震が、1つの津波を起こし、日本のエネルギー政策を根幹から揺るがし、そして今、我々は、生活や生産の場で、ぶっつけ本番の「節電」に挑まなければならない。
他県では既に2度、3度の全県節電実験などが実施されているが、本県ではまだ1度しか節電実験が行われていない。
私は、先週閉会した6月定例議会で、「節電は各家庭での取組が成否のカギだと考えるが、その節電対策が他県に比べて取組が遅いのではないか。節電を県民の皆さまに呼び掛けるチラシですら8月上旬にできるというのでは夏が終わってしまう。もっとスピードを上げて取り組んでももらいたい。」と、知事に懇願した。
ほぼ「予行練習なし」といってもいい状況の中で、各会社、各家庭での節電対策をしていかなければならないし、正直、「電気予報」と言われても、それは単に東北電力管内の総体量であって、それを新聞やインターネットで見る各個人、各家庭で、いかほど「ピン」と来るかは甚だ怪しいと言わざるを得ない。
一歩歩くごとに、一息吸うたびに感じる圧倒的な暑さの中で、「節電」という漠然としたスローガンは果たしてどこまで太刀打ちできるだろうか。
過度な節電は、屋内での熱中症をはじめとした様々な被害をもたらす可能性がある。
平日の日中、各家庭でエアコンを使ったりする電力需要の多くは、おそらくは高齢者や、幼児・児童、そして、専業主婦の方などではないかと思う。
たとえば、こうした方々が、家を出て、様々な公共施設や大型施設などに平日に集えるような仕掛けや工夫をしていくことで、日中の各家庭での電力消費がいくらかでも抑えられないだろうか。
ピーク時に合わせた、無料開放やイベントの実施なども考えられるかもしれない。
もちろん、こうしたことと併せて、本来的には、各家庭での節電の「取組とその効果」を「見える化」し、必要以上でも以下でもない、適量の節電ということを、正しく伝える努力が行政に求められる。
今のままでは、「節電って言われてもよ、こんたにアッチーば、なんともならね、エアコン止めるわけにもいかねーしよ、なんともしかだねー、まあ、家一軒が普通に使っても、なんとかなるべ」
ということになりかねない。
照りつける日差しに打ち克つ「知恵と知識」。この数週間が勝負だ。
話は変わり。
先日、この場でお話をしました県政報告会。
まずは第1回目の日程等が決まりました。
日 時 : 7月24日(日)夕方4時
場 所 : 暖団家 仁井田店(秋田市仁井田新町1−5−15)
4時から5時までの1時間ほど、県政報告会(参加者との意見交換なども含む)とさせていただき、これは無料となっておりますので、日曜の夕方というゴールデンタイムで恐縮ですが、もしお時間がありましたら是非多くの皆さまからご参加いただけましたら幸いです。
なお、県政報告会終了後、ささやかですが会費制での会食も予定しております。こちらのほうは事前にお申し込みをいただく形となっておりますので、メール・電話等でお名前等をお知らせいただけましたら幸いです。
この24日が第一弾となっており、この後も8月にかけて数回の報告会を各地で予定しています。決まり次第またご案内させていただきます。