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焼却灰 その2

2011年07月15日

 放射能という毒が、血液に乗って、「日本」という人体の身体中を駆け巡り、冒しているようだ。
生産という動脈、廃棄という静脈。

 大館の焼却灰について、昨日に引き続き書きます。
 そもそも、からなるべく丁寧に書きますが、専門外でもあり技術的な点や科学的な点で、書ききれない点があることをご容赦ください。

 「焼却灰」に関する処分は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」、いわゆる「廃掃法」に定められている。そして、その法律の下の政令によって、「他の市町村にある処分施設など焼却灰を搬出して、処理をお願いする場合」には、その処分施設がある市町村をあらかじめ「通知」をすることになっている。
 大館市、小坂町は、その法律とは別個に、自治体独自の条例を作っている。
 たとえば、大館市は「大館市環境保全条例」だ。
 この条例で、国の法律では「通知」で良いとされているところを、「協議」の手続きに変えている。
 つまり、単なる通知ではなく、協議をしましょう、ということだ。
 大館市と流山市は、この条例に基づき、毎年、協議をし、「協定書」を結び、焼却灰の搬出・受け入れ・処分を行ってきた。
 市役所に確認したところ、これは少なくとも5年以上(おそらくもっと昔から)続いてきており、流山市以外の関東の様々な自治体とも、こうした協定に基づき受け入れてきた。
 これが、今回、大館駅構内に積み上げられた、関東各地からの合計23本のコンテナということである。
 関東では処分場などが物理的にひっ迫しており、そのため、秋田を含め、様々な自治体に処理をお願いしてきている。

 今回の件は、こうした「これまでの」普通に行われてきた処分の流れの中で、コンテナが運び込まれたものである。

 次に。
 この焼却灰に関して、先月、東京都内で放射性セシウムが検出された。
 そのことを受け、6月28日付で、環境省は本県や千葉県を含む16都県に「焼却灰についてあらかじめ検査を行い、測定結果が8000ベクレル/kgを超えた場合は、市町村の外に持ち出さず一時保管をするように」との通知を行った。
 そこで、流山市が7月5日に焼却灰について測定を行ったところ、7月8日に28100ベクレル/kgの放射能が検出された。
 しかし、既に3月11日以降、前述したような、これまでの流れの中で、約200トンの焼却灰が流山市から運ばれてきており、埋め立てされていたし、まだ埋め立て処分される前のものが、大館駅構内にあったということである。

 3月11日時点において、福島以外の、関東の自治体にまでの放射能の広がりを想定し、この焼却灰について、即時に受け入れを停止する、あるいは関東の自治体で検査を実施する、といった体制が取ることは現実的には難しかったであろうから、結果、大なり小なり、こうした焼却灰が関東から各地の自治体に運び込まれてしまっていたことになる。
 3月11日までさかのぼって、「その時点で対応していれば」とまでは私は言わない。

 しかしここに1つ、問題がある。
 東京都で、この一般ゴミの焼却灰から基準を超える放射性セシウムが測定されたのは、6月27日。
 そして、私の手元にある文書では、翌日、6月28日の日付で環境省から、本県を含む関係都県に、前述の「検査指示」が出ている。
 にもかかわらず、7月6日、8日、9日に流山市は検査結果が出ていない段階にも関わらず、大館への搬出を行った。これが今回の「大館駅構内にある流山市からのコンテナ」である。

 これが時系列として正しいとすれば、こうした国の通知がありながら、それを半ば無視したような形で

搬出をした流山市、そして、何の確認もせずに、あるいは確認が取れるまでの受け入れ停止といった措置をせずに、それまでどおりの受け入れを続けた大館市、双方に「瑕疵」があるのではないかと私は思う。
 松戸市にいたっては、検査結果を待たずに搬出したばかりか、基準値を超える検査結果が出たにもかかわらず、小坂町に連絡すらしなかったというのだから驚きだ。

 放射能は私たち人間の手に余るエネルギーであったことが今回改めて明らかになり、そして、今回の原発問題では政府の対応、後れがあったこともそのとおりであると思う。
 しかし、一方で、地域住民の命と安全を守る第一義的な責任は地方自治体にあり、今回のような対応は秋田県民・大館市民の皆さまからすれば、「政府を批判するのもいいが、自治体ももっとしっかりしてくれよ」ということにならないか。
 さらにいえば、空気とエネルギーと食糧と人材を供給し、その代わりに危険なゴミを引き取っている、というのが首都圏と地方の構図だとするならば、私自身、一県民としてこれほど悔しいことはない。
 今回のことについて、県と市が、関東の自治体に対して、毅然とした態度で臨むことを切に望むし、何度も言うがここに書いたようなことをしっかりと県民の皆さまにお伝えしてほしいと思う。

 なお、埋め立てされた焼却灰、そして、今、駅構内に保管されているコンテナ、ともに「住民の皆さまの生活や健康に影響があるようなレベルではない」という回答を県からは得ている。
 しかし、これについて、私のところには、「本当に大丈夫か」、「本当は危険なのでは」といった不安、疑問の声も多く寄せられている。
 こうした不安を本当に解消する意味でも、県・市が何らかの「安全宣言」を出すべきではないかとも思う。

 
  

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沼谷 純はこんな人!

昭和48年3月
秋田市生まれ。仁井田育ち。
平成7年4月
秋田県庁入庁、企画調整課配属。
平成22年12月
政治を志し、秋田県庁を脱藩!
(退職)
平成23年4月
秋田県議会議員に初当選。
現在3期目。
令和3年2月
秋田県議会議員を辞職し、秋田市長選挙に挑戦。
令和5年4月
政治家として再始動を決意。
現在
秋田市横森在住。

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