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再就職。

2011年08月11日

 なんとも情けない話だ。

 夢や情熱、気概を持って仕事に打ち込んでいる若者がたくさんいる。
 理想と現実の狭間で、苦しみながら毎日深夜まで仕事をしている仲間がいる。
 秋田を良くしたい、次の世代にしっかりとバトンを渡したい、みんなに安心して老後を過ごしてもらいたい、若者が秋田で働き、暮らせるようにしたい・・・・

 そうした理想や想いとは裏腹に、目の前の現実を見たときに、無力感や絶望感に苛まれることもある。

 外を見れば、少子化という抗いがたい波、産業振興という困難な命題、過疎や限界集落、若者の県外流出といった状況。このままでは秋田が無くなってしまうのではないかという不安。
 中を見れば、年功序列という分厚い壁、財政難や定数減といったヒト・モノ・カネの減少、次々と降ってくる、時に「思いつき」のような指示への対応、組織内部の論理が優先されていくことへの疑問、業務量のアンバランスやマネジメント力の不足・・・・もちろん、「常にそうだ」ということではないが。

 秋田に課題は山ほどある。
 そして、それに立ち向かうための武器や体制、人的資源が十分とはとても言えない。
 しかし、それでも、そういう中でも、情熱と想いを持って、抱え込んで仕事をしている職員が確かにいて、彼らは日々、戦っている。
 それが、私が16年在籍した、秋田県庁という組織だ。彼らを私は今も尊敬している。
 県民の皆様からすれば、至らぬ点ばかりの「行政」や「役所」であるかもしれないが、必死にやっている人間がいることも、願わくばご理解いただきたいとも思う。

 話が廻りくどくなってしまった。

 幹部職員の再就職。
 このことについて、冒頭、なんとも情けない、と言った。
 昨年度末に退職した建設交通部長が、「職務上密接な関係にあった企業への再就職は自粛する」という内部規定に違反し、建設会社に再就職した。
 県の部長と言えば、単純に言えば「県政のトップ10」に入る実力、決定権を持ち、その下には100人や200人の部下がいる。秋田の民間会社の社長さんでも、それほど部下を持っている社長さんはそれほど多くないのではないか。
 部長の下には、日々、それぞれの部局が抱える重要課題が持ち込まれ、最後は「部長の一言」で物事が決まっていくことが多い。
 私自身そうだったが、若い職員にとっては、部長室に入るだけでも緊張する、というようなものだ。
 同時に、自分もいつかこの人のようになって、自分の意思で県政を動かしていきたい、と思ったりもする。
 まさに、下の人間にとっては、「基準」であり、「規律」であり、「権威」であり、「目標」である。

 県議会議員は秋田県に45人「も」いるが、県の部長クラスは10数人しかいない。
 県議会議員は自分の裁量で動かせるお金は年間300万円の政務調査費だけだが、部長は年に何十億、何百億という予算を直接的に決定し、動かしている。

 そういうポストにあった人間が、自ら県の内規を無視し、自分の後輩と言える現職幹部から「非常に残念だ」などとコメントされることは、私としては、「残念」を超えて「情けない」の一言に尽きる。いや、「憤り」か。
 踏ん張って、戦って、必死にやっている部下や後輩らに、どう顔向けするのか。
 再就職したポストはかなりの高給とも聞く。
 7月1日の公表を意識し、8月1日からの再就職という、「公表逃れ」とも言われかねない手法を採ったとも聞く。
 「部長だったときはなんだかんだイイこと言っても、結局、自分の保身、自分のことしか考えてなかったんだな。本当にガッカリだ。こういう恥ずかしいことはもうやめてもらいたい。」
 そんな声を県庁内部の若手職員からも聞く。

 自分の理屈で、自分が何をやるのも勝手と言えば勝手なわけだが、せめて、これから先も現場で踏ん張り続けていく職員の情熱に水をかけるような、後ろ足で砂をかけるようなマネだけはしないでもらいたい、と私は思う。
 自分が指示を受け、自分が信頼してついてきた人が、自ら県の内規を破り、その結果、県庁全体が県民から責められ、信頼を損なうことになる、というのでは、ある意味、職員は「裏切られた」という思いを抱いてしまうのではないか。
 県の最高幹部が退職し、県庁や後輩らに遺していくものが、「県民からの不信」や「上司への不信」といったものだとすれば、それほど遺された側にとって迷惑なものはない。

 現在の内規そのものに無理や矛盾があるのか。だとすれば、職員のモティベーションを下げないためにも、そして、県民の皆さまの信頼をこれ以上損なわないためにも、「できない約束」はしないほうがよい。
 県が再就職を斡旋するということについても、県民の皆さまからは「公務員だけ、ハローワークとは違う仕組みが用意されているのはおかしい」というご意見があることもまた事実。
 私は現時点で再就職そのものを全否定するものではないが、県が斡旋する以上、そのポストに斡旋する必要性(なぜ県庁OBが必要なのか)、特定の人物を斡旋する理由(なぜその人物でなければならないのか)、任期や給与など(どういった仕事と待遇なのか)を最大限明らかにし、透明性や公開性を確保することを前提として、民間からの要請を受ける、斡旋する、といったことをやらなければならないのではないか。
 
 

 

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沼谷 純はこんな人!

昭和48年3月
秋田市生まれ。仁井田育ち。
平成7年4月
秋田県庁入庁、企画調整課配属。
平成22年12月
政治を志し、秋田県庁を脱藩!
(退職)
平成23年4月
秋田県議会議員に初当選。
現在3期目。
令和3年2月
秋田県議会議員を辞職し、秋田市長選挙に挑戦。
令和5年4月
政治家として再始動を決意。
現在
秋田市横森在住。

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