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誰かのせい、何かのせい。

2011年11月05日

 今日は短めにご報告のみ。

 今日、4回目の「まちなか座談会」を開催しました。
 毎月1回、第一土曜日の開催ではありますが、少しずつ市民の皆さまにも浸透してきたようにも感じます。
 毎回足を運んでくださる方もいらっしゃいます。

 先月は秋田市の「ゴミの有料化」について、かなり活発な御意見をいただきました。
 民主党公認の市議2人も、市民の皆様の鋭い指摘や御意見をいただき、今後の議会活動にとって大変参考になったようです。

 今月は、大きく3点のことに意見が集中しました。
 1つめは、ガレキの受け入れの問題です。
 「東北復興、と言いつつ、秋田は隣県のガレキさえ受け入れていない。受け入れるべきだ。」といった御意見が今日の参加者の声としては多かったように思います。

 2つめは、TPP。
 これは、参加者の間でも賛否が分かれました。

 そして3つめは、国の財政や、それに関連する増税について。
 これは、増税反対、というよりも、増税の必要性や、財源捻出努力、あるいは、各種減税や控除の見直しなどについての意見でした。

 それぞれ、全く違うテーマのように見えて、実は、全てに共通する市民の皆様の思いがあったように感じました。
 それは、「もっと情報開示、説明を」ということです。
 貴重な週末の土曜日にわざわざ足を運んでくださる方々は、政治や行政にかなり関心度が高い方だと思いますが、こうした方々でさえも、そう感じるのだから、一般的に「政治の不透明さ」についての思いはさらに強いのだろうと感じます。

 しかし、一方で、これだけ国民の皆さまの時間の使い方や情報収集のツールの多様化・分散化が進んでいる中で、法律や制度、外交に関わるようなことを果たしてどこまで「平易に説明」しきれるか、どこまで「納得性」を持たせられるか、ということにも正直悩みます。

 この座談会もそうした情報開示・説明のツールの1つであり、各種広報紙も、私のこのHPもそうしたものです。
 ありとあらゆるツールは駆使しているつもりですが、まだまだ、まだまだ、有権者の皆さまには届いていない、その歯がゆさと、自らの至らなさを改めて痛感しています。

 ただ、1つだけ改めて確信をしたのは、「誰かのせい、何かのせいにする政治」はもうやめにしないといけない、ということです。そのことがより一層、政治を「見えなく」しているのだと感じます。
 ガレキの受け入れについても、東京都をはじめ他の自治体では既に受け入れをしている自治体もあるわけですから、秋田が受け入れるかどうかは、まさに、誰かの判断、国のせい、ではなく、秋田県と県内市町村の首長の決断と説明責任にかかっているでしょう。

 TPPも、アメリカのせい、や、戦後農政の失敗のせい、まして情報がないせい、でもなく、日本が日本の生き残りをかけて、これからどういう判断をするか、誰のせいでもない日本自身の判断と外交力にかかっているでしょう。

 私自身も、政治家として、「少数会派だから」とか、「時間や情報が足りないから」といったことをこれからも理由にしないように、そこだけは気をつけてやっていきたいと思っています。
 政治責任とか、説明責任、というのは結局そういう意識のことなのだと思っています。

 とは言え、今の我が国の地方議会は全体として当事者意識が薄い気もします。
 議員内閣制の国と違い、どれだけ多数でも執行部側に参画できない地方自治の仕組みそのものの制度疲労かもしれません。
 このことについては、また機会を改めて考察したいと思います。

 

TPP交渉反対決議について。

2011年11月02日

 既にテレビ、新聞等で報道があったとおり、昨日、本会議において「TPP交渉への参加に反対する決議」が可決されました。(そのうちの一つをご覧になりたい方はこちらから。)
 

 私は、その決議案に反対、つまり、TPP交渉に参加すべき、という立場で討論をしました。

 様々な御意見、御批判をいただくことを覚悟の上、少しこの場で私の考えを述べさせていただきたいと思います。
 今回の決議案について、私が最も疑問を感じたのは、「TPP交渉への参加」と、「TPPそのものの締結(参加)」が混同されているのではないかということです。
 私はそれを分けて考えるべきだと思っています。
 TPPにはその内容が見えない点、まだ定まっていない点があります。
 解らない部分があるからこそ、動いている、動いていく部分があるからこそ、交渉には参加すべきだと考えています。
 TPP交渉に参加したら途中で抜けることなどあり得ない、との主張をされる方もいらっしゃいますが、日本は1つの独立した主権国家であり、他国が何と言おうと国会の承認がなければTPPは締結できません。
 まさに、最後は国会の場で議論をし、決めることです。

 その意味で、交渉にすら参加してはならない、というのは国会の機能、政治の機能を自ら放棄し、思考停止しているように私は感じます。

 次に。
 では、TPPを締結すること自体、沼谷は賛成なのか、と聞かれるかもしれません。
 それについては、率直に言えば、日本全体にとってのプラスマイナスと、秋田にとってのプラスマイナスを分けて考える必要があると思っていますが、今その最終判断を下す時期ではないと考えています。
 つまり、車を買う時に、200万円でも1000万でも、あらかじめ「買う」と宣言して、ディーラーと交渉を始める人はいないだろうということです。交渉をして、買える値段であるなら、買う、ということだと思います。

 ただ、私がずっと考えているのは、農業は「守られるべきもの」、農業者は「弱い者」であるかどうか、ということです。
 仮に、農業がただ守られるだけのものであるならば、それは「産業」政策ではなく、「福祉」政策的な政策を実施していくことが必要です。
 つまり、医療や福祉、介護などと同じく、国民の暮らしに「一定程度確保されなければいけない」もので、価格や採算をある程度度外視しても、維持していくということになります。
 私は、農業は全てにおいて、とは言いませんが、「産業」として成り立つ部分を十分に持っていると思っています。同時に、「福祉的」に対応せざるを得ない、つまり、産業としては成り立たない部分も持っていると思っています。TPP交渉がどうなろうと、こういう政策のミックスがこれからの我が国の農業には必要だと考えていますし、産業として成り立つ農業にとっては、「鎖国的政策」はむしろマイナスだとも思います。

 また、TPPが締結されれば日本の農産物は全て安価な外国産に取って代わられるかのような主張もありますが、果たして本当にそうだろうか?とも思います。
 日本人は、ただ安いというだけで、秋田こまちやコシヒカリを捨て、インディカ米やタイ米を買いに走るでしょうか。
 今だって中国産の農産物はスーパーにあふれています。しかし、全県各地の道の駅に並ぶ野菜は飛ぶように売れています。
 地域で採れたものを地域で加工し地域で消費する、今、あちこちにあるそんなコミュニティレストランは、TPPが締結されれば外国産の野菜に切り替えるでしょうか。
 日本人がやってきた農業とは、日本人にとってそんなに簡単に捨て去られるほど弱いものだったのでしょうか。
 あるいは、世界に冠たる「食の国 日本」の消費者の舌や嗜好、安全志向はそれほど日本の農業者から信用されていないのでしょうか。
 TPP交渉に参加している国の間では、関税撤廃の例外品目を認めるべきだという主張や、撤廃までに10年以上かけた例もあります。
 日本の農業をどうしていくか、知恵と対策を出し、実行していくには十分な時間ではないでしょうか。

 最後に。
 余談ですが、「交渉してさらに情報収集に努め、TPPを最終的に締結するかどうかを決めるべき」との私の意見について、「これからさらに情報収集する、という時点で他国に負けている」といった、やや情緒的な反論をされている県議の方もいらっしゃいます。

 TPP交渉はまだ途上であり、参加国の間でもまだ決まっていない部分も数多く、これから決まっていくことも多々ある以上、現時点で全ての情報が出そろっていないことも、これから情勢が動く可能性があることも当然です。
 こうした国際情勢に柔軟に対応し、そして、そこから我が国の国益に繋がる成果を勝ち取ってくる、そのしたたかさやしなやかさこそが今の政治には求められているのではないでしょうか。
 交渉そのものにすら参加してはいけない、と言いつつ、情報も判断材料もないからTPPには反対だ、という論理が仮にまかりとおるなら、それこそが交渉以前に他国に負けている、「弱い政治」の姿ではないでしょうか。
 過去の農業政策の反省に立ち、止めることも、避けることもできないグローバル社会の中で、日本の農業、日本の産業全体をどうするのか、そのことを力強く語っていただきたいと思います。
 交渉もするな、戸別所得補償もやめろ、と言っているだけで、10年後も農業が守れているとは私は思いません。

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沼谷 純はこんな人!

昭和48年3月
秋田市生まれ。仁井田育ち。
平成7年4月
秋田県庁入庁、企画調整課配属。
平成22年12月
政治を志し、秋田県庁を脱藩!
(退職)
平成23年4月
秋田県議会議員に初当選。
現在3期目。
令和3年2月
秋田県議会議員を辞職し、秋田市長選挙に挑戦。
令和5年4月
政治家として再始動を決意。
現在
秋田市横森在住。

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