一般質問が終わり、舞台は各常任委員会に移っています。
議会は、6月、9月、12月と開かれてきていますが、2月議会は、他の時期のものと違い、大きく2つの内容に分かれています。
1つは、補正予算の審議、もう1つが来年度、つまり24年度当初予算案の審議です。
当初予算の審議はこれから始まりますが、補正予算のほうの審議は各委員会とも終了しました。
補正予算、というと、国も震災後、3次、4次と補正予算を組み、復興・復旧や経済対策などを切れ目なく実施するということでやってきましたし、県もまた、そうした国の補正予算によって、新たな交付金などが県に交付されるといったことがあり、6月や9月、12月などの議会の都度、補正予算を組んできています。
これらは、言わば「プラスの補正予算」となります。
事業の追加、予算の追加、ということが中心です。
しかし、2月議会はそうしたこれまでの補佐予算と違い、「マイナスの補正予算」が中心となります。
つまり、予算の減額、です。
端的に言うと、23年度当初予算で1000万で実施しようとしたA事業があり、それを実際に実行していったら、業者さんへの委託費などが予算(積算)よりも、安くできたので、800万で済んだ、というような場合、この2月議会で、「減額補正」ということをやります。
200万円不要だったので、それを使わずに県の財布に戻す、というようなことです。
よく、役所は「単年度予算」なので、年度末に予算消化のために「使い切り」に走る、といった批判がありますが、(それがないとは言いませんが)昔よりは、余ったら堂々と戻す、ということになってきています。
こうした予算計上と、実際の執行による「差」が、県庁全体で積み上げられると、数十億という単位になり、
これらは、県の「財政基金」、いわゆる「貯金」に戻されていきます。
これが、2月補正予算の大半を占めることになります。
今年は、こうした通常の「減額」に加え、震災の影響などで当初実施予定だった事業などが、実施できなくなった、といった予算もあり、こうしたことも減額予算の対象となっています。
さて。
私が所管する産業労働委員会でも、この減額補正が多々あったわけですが、その中でも議員側から厳しい意見が出たのが、「宿泊キャンペーン」についてです。
事業内容をおさらいすると、震災によって県内観光地が宿泊減などのダメージを受けたので、「県民に県内温泉地などに宿泊してもらおう」ということで、去年の5月に9000万円の補正予算を組み(プラス補正)、「県内宿泊創出3万人キャンペーン」として、県民が県内宿泊施設に宿泊する際の料金の一部を助成しました。
私がこの話題をここで取り上げたのは、同じく5月に議員報酬25%削減の条例案を提出した際、「25%カットをやれば、今回補正予算で上がっている宿泊キャンペーン1億円の財源が生まれる。議員報酬をカットした分でこうした震災対応をやっていくことが今大事ではないか」と演説したこともあり、私自身、この事業は秋田県における震災対応の象徴的な事業だと考えていたためです。
今回の補正予算では、当初予算化した9000万円のうち、3500万円が減額されました。
理由は、抽選で補助券が当たったのに利用しなかった人がいたことによるものです。
このことについて、議員側からは、「これは震災対応という意味からも、予算を使わずに済んで良かった、というものではない。使われなかったというこは、そのぶん、想定した経済効果が出なかったということだろう」という至極当然の指摘がありました。
私自身が注目したのは、この予算の減額ではなく、利用者の数でした。
当初、3万人の宿泊客を創出する、と言って始めたこの事業が、終わってみれば1万5千人しか宿泊しなかった、つまり、創出効果としては当初見込んだ効果の50%にとどまったわけです。
民間企業であれば、予想の「半分しか売れなかった商品」があったなら、その原因なり今後の対策なり、猛省を含めて検討されるはずですが、この事業については、来年度以降は継続しない、今年度限りの事業だということで、そのあたりの分析も甘くなっているようです。
予算を使うことが目的でも、補助券を配ることが目的でもなく、3万人創出する、ことが目的のこの事業が1万5千人に終わり、来年度は、さらにディスティネーションキャンペーンに向けて、様々な広報予算、観光予算が組まれています。
アドバルーンをあげて、結果その目標に全く届かず、しかし「やらないよりはやったほうがいいだろう」ということで億単位の予算を次々に投入できるほど、秋田県の財政は楽ではないはず。
目標設定と、手法、その後の検証という当たり前の作業がしっかりと為されていく必要があります。
数字やキャッチフレーズだけが踊って、実態が全くついてこないような観光施策であってはいけません。
当初予算の審議でもそこは厳しく見ていきたいと思っています。