国家公務員の採用抑制がニュースになっている。
「56%減」という何とも衝撃的な数字だ。
とはいえ、マスコミ報道ではこの56%という数字だけが前面に出されているため、少し正確に、全体像について記載し、私の感想を記したい。
与党の立場というより、地方から見た目線というようなもので、少々刺激的な内容になることをご容赦いただきたい。
まず、この56%減というのは、H21年度採用8511人に比べて、H25年度採用を3780人に抑える、その割合が56%減ということだ。
そして、民主党は政権交代後、この8511人を基準に、毎年3割程度採用を減らしていた。つまり、これまでも6000人程度に抑制してきていたもので、今回の方針は、6000人程度に抑制してきたものを、さらにもう一段踏み込んだ抑制をする、ということだ。
去年から今年、で一気に半分以下の採用に落とします、ということではない。
マスコミの論調では、どうも「激変」というように受け取られがちだが、そうではないということを1つ事実として記載したい。
それからもう1つ。
震災復旧で大活躍した自衛隊、いざという時の備えまで削ってしまうのか、というご懸念を示されるニュースキャスターなどがいらっしゃるが、これについても、自衛隊はこの採用抑制の対象外となっているので、それは杞憂ということになる。
最後に。抑制される数ばかりがクローズアップされるが、ではいったい、国家公務員というのは何人いるのか、そこについてほとんど報道がされていない。
国家公務員の数は、日本全体で約57万人。そのうち、25万人が自衛隊。2万人が裁判所。で、各省庁にお勤めの方が残り30万人で、この方々の人件費は3兆円。
30万人という母数に対する、3780人の採用ということで全体のロット感を掴んでいただきたい。
ちなみに、地方公務員は全国で230万人、21兆円の人件費となっている。
さて、ここからは私の所感。
この採用抑制についてまたも野党からは批判があるようだが、私からすれば、これぐらいできないで何をやるんだ?というのが率直な気持ち。
自民党政権下では、対前年比5%だとか、そうした国家公務員の総定員減をやってきていたが、それは、なんのことはない、膨大に定年退職していく方々に対して、それを上回らない程度に採用していけば、そのぐらいは「普通に」できるのであり、何の「踏み込み」でもない。
国家公務員やその関係者の方々からの批判を恐れずに言えば、そもそも私は30万人も国家公務員は要らないと思っている。
30万人のうち、「霞が関」に勤務しているのは10万人、残り20万人は、各都道府県などに置かれている「出先機関」と呼ばれるところに勤務している。
ハローワーク、農政事務所、法務局、社会保険庁などなど、だ。
ハッキリ言って、ハローワークの仕事は秋田県庁でやったほうがずっと効率がいい、と私は思う。
県庁でハローワーク業務ができれば、その予算や人事、体制などは、県議会や県民の皆さまからのチェックが働く。今のハローワークには、地方議会のチェックは及ばないし、住民からの情報公開請求などもできない。国会議員が国会の場でハローワークの個別の状況について議論する、というようなことでもないだろう。
そもそも、企業誘致や企業支援や、起業・創業、こういう仕事は県庁がやっているのに、「職業紹介」だけが国の仕事になっているのは、働きたい人、雇いたい企業からして非常に不便だし、こんな非効率なことはない。ハローワークに行っても、企業は雇用関係の助成金はもらえるが、設備投資や販路拡大に関する補助金などはもらえないのだ。企業からすれば、設備や販路と雇用は一体のはずだ。
私は、この20万人の方々の仕事は、基本的には地方自治体に任せてもらうべきだし、そういう改革を待たずとも、まだまだ効率化できる余地はあると、地方公務員として見てきた目線から断言できる。
現に働いている公務員の方々の「生首」を切らずに、国家公務員の定数の適正化をしていくとすれば、この新規採用の抑制というのは、「それが全て」ではなく、「それが始まり」として理解すべきだろう。
あれもこれも、全体像を示せ、とか、もっと大事なことが、といった論陣を張りたがる政治家も多いが、そういう「議論のための議論」のために、すぐに出来ることも棚上げするようではマズイ。
出来ることはやる、出来るところからやる。
そういうことに是非与野党問わず取り組んでいただきたい。
さて、私も出来るところからやらねば。
秋田県議会にかかっている経費13億円のどこをどう削減するか、今週中に私案をまとめなくてはならない。議会費全体の洗い出し、なんてことを言う議員は私以外にいないようなので、私がやるしかない。
こういう時は、職員としてのキャリアが役に立つのではあるが・・・