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失われた命、1円の重さ。

2012年05月21日

 毎月開催される県当局と議会との「県政協議会」。
 今日もまたいくつかの議題があったが、そのうち、2つのことについてご報告をしたいと思う。

 1つはクマ牧場のこと。
 県ではクマの引き取り先を探す一方で、臨時的に職員を雇用するなどして、クマを生き延びさせるための予算措置を講ずるということであった。

 今日の説明でもそうだが、すっかりと問題の焦点が「こうなってしまっては、クマをどうするかが一番の問題」というように、まさに「クマ問題」ならぬ「クマが問題」というような状況になっている。
 しかし、失われてしまうかもしれないクマの命より、失われてしまった人の命があることを忘れてはならない。
 今回の直接的な事故(事件)原因は、クマが雪塊を登って、脱走したことにあり、その「脱走原因」がどのように形成されたのかは、まさに警察の手によって捜査が進められているところだが、これはあくまで、物理的な原因の特定である。
 端的に言ってしまえば、脱走そのものが問題なのではなく、脱走したクマが人命を奪ったことが問題であり、そこには単にクマの本能だとかそういったことだけではなく、当然ながら、クマの飼育状態・栄養状態なども関係するだろうし、さらに言えば、開園当時からの所有者の管理体制と、それに対する行政指導がどうであったのか、ということが問題なのである。

 私が、今回命を落とされた方の血縁者であればこう思うだろう。
 「クマをどうするか、も大事だが、どうしてこうした事件が起きたのか、これを未然に防ぐことはできなかったのか。管理や飼育方法に不備があったことは前々から解っていたはずなのにどうしてその状態を放置してきたのか。所有者だけの責任か。」と。

 2003年には県や所有者も含めた閉園方針が決まっていたという動物愛護団体の話が確かだとすれば、それから今までどういうやり取りが県と所有者の間であったのか、ということも明らかにされるべきだろう。

 さらには、実質的に所有者は、経済的な意味も含めて、現在このクマ牧場を運営する能力があるとは言えないことは明白であり、だからこそ、県が人を雇ってでも当面の管理を行っていくという方針になったにも関わらず、以前としてこの経営者への「クマ牧場の経営許可」は取り消されていない。許可を出すのも取り消すのも県であることは前に書いたとおりだが、今回のような悲惨な事故を引き起こした所有者に対して未だ許可を取り消すことなく、そのままにして、運営の支援をしようというのはいささか甘くはないか。

 「命」に差をつけるわけではないが、残されたクマよりも、遺された家族、ご遺族の心中を思えば、クマ、クマと言う前に、警察が行う「雪塊」の究明とは別に、20年にも及ぶこのクマ牧場の管理の変遷や、県の指導などの経緯について明らかにし、ご遺族の方や県民に説明するのが先ではないか。

 また、現在の法律に不備があるのであれば、そうした不備の是正を早急に国に求めていくべきであり、6月3日に開催される県選出国会議員と知事・県幹部らとの意見交換の際に、知事からしっかりと訴えるべきだとも思い、そのことを提案したが、残念ながら「6月3日には間に合わない」との説明であった。

 今回の県政協議会ではこうした過去の経緯がほとんど明らかにされることがなく、事故そのものの直接的経緯と今後のクマの扱いが中心的な話題となっていたことや、法改正を求める動きが今ひとつ鈍いことなど、私としてはいくつか気になる点について県政協議会の場でお話をさせていただいた。

 今回の事件が最終的にどういう形で決着するのか解らないが、いずれにしても、牧場管理のために県が人を雇う、その予算が100万だろうと200万だろうと、そのお金の中には、ご遺族の方々の血税が1円でも2円でも含まれていることを忘れてはならない。
 1円の重さ、を十分に認識して、検証と対策を行ってもらいたいと佐竹知事に切に望む。

 もう1つは、夏の節電対策のことだが、これも少し長くなるので明日書くことにしようと思う。

 

ハコと殻。

2012年05月19日

 やられた。

 で、ある。
 「アオーレ長岡」なる施設が新潟県長岡市にオープンした。
 詳しいことは、「アオーレ」で検索してHPでご覧いただきたいと思うが、JR長岡駅に直結する施設で、秋田市で言えば、ALVEといったところ。
 そこに、行政機能と、シネマと、カフェと、研修室、ウェディングもできるスペースなどを備え・・・・と、ここまで書くと、なーんだ、それこそALVEとなんも変わらんじゃないか、ということになるのだが、「やられた」は、実はこの行政機能の部分にある。

 長岡市長の説明によれば、長岡市役所の本庁職員1100人のうち、650人がこのアオーレで働く。残りの450人はアオーレから近い既存ビルなどに分散配置したとのこと。
 狙いは「まちなかに溶け込む市役所」だそうだ。

 よく、役所は「敷居が高い」と県民・市民の皆さまから言われる。
 それは心理的なものも含めてではあるのだろうが、つまるところ、「役所」というものが、仕事なのか、人なのか、建物なのか、あるいはそれら全てが揃っていなくてはいけないのか、ということだろう。

 私自身、常々、「建物」のない役所、というものを考えてきた。
 県庁舎、市庁舎がなくても、県庁・市役所は成り立つのではないか、ということだ。
 これだけIT化が進んだ社会で、デスクワークと会議が中心の行政が、大きなハコモノを単独で構える必要があるだろうか。
 県庁舎も、民間企業等が入居する第二庁舎があるが、それもあくまで、県庁舎に民間企業が入居しているのであって、民間ビルに県庁が入っているわけではない。

 役所の職員が1つの建物の中にギュウギュウに押し込められて、ひしめきあって同じ空気を吸っているよりも、民間ビルに分散して、民間企業と一緒になって仕事をしているほうがむしろ空気が美味いのではないかと経験則的に感じたりもする。

 セキュリティ、事務効率、賃貸コスト・・・「無理」を前提に理由を挙げれば多々出てくるのだが、本当にできないのか、マイナスを上回るプラス効果は見込めないのか、私としてはトライする価値があると思ってきた。

 そういうことで、この「アオーレ長岡」には大変注目している。

 どこかの県では、いろいろと議論を巻き起こしながらも市庁舎の「建て替え」が進むようだし、「再開発」ということで、美術館はじめ立派なハコモノがいよいよ姿を現した。

 お世辞にも青空が多いとは言えない土地柄、1年の半分は肌寒い日が続く土地柄に、ある意味では、巨大な灰色の建造物群は見事に調和している、と言えなくもないが、再開発も、建て替えも、今、その是非を判断する立場にない人たちが、20年先にこれらのハコについてどう思うか、と想像する。

 私自身は、自分が政治の世界に足を踏み入れる直前に決まってしまった「再開発」に対しては、本当に忸怩たる思いを持っているし、市庁舎の建て替えについても、古いハコが新しいハコに変わるだけなら意味がないとも思う。

 行政と市民、政治と市民の距離、関わりの「場」をどう作るか、ということを真剣に考え直すべき時期にきていると思う。
 アオーレ長岡の1階には、市議会の議場もある。
 行政も政治も自ら作った「殻」に自ら閉じこもっている時代はもはや終わった。物理的な殻が、意図しない心理的な殻を作り出すこともあるだろう。
 近々、アオーレに行ってみようと思う。
 
  

珍妙。

2012年05月17日

 今日の地元新聞。
 一面の大きく「給与削減、協力を」の見出し。
 佐竹知事が職員の給与カットの方針を打ち出したとのこと。

 読む。
 しっかりと読む。
 繰り返し読む。

 ・・・・・・何度読んでも「珍妙」である。理解に苦しむ。

 これ以上は今は述べない。
 いずれきたる議会の場で議論をさせていただこうと思う。

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沼谷 純はこんな人!

昭和48年3月
秋田市生まれ。仁井田育ち。
平成7年4月
秋田県庁入庁、企画調整課配属。
平成22年12月
政治を志し、秋田県庁を脱藩!
(退職)
平成23年4月
秋田県議会議員に初当選。
現在3期目。
令和3年2月
秋田県議会議員を辞職し、秋田市長選挙に挑戦。
令和5年4月
政治家として再始動を決意。
現在
秋田市横森在住。

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