毎月開催される県当局と議会との「県政協議会」。
今日もまたいくつかの議題があったが、そのうち、2つのことについてご報告をしたいと思う。
1つはクマ牧場のこと。
県ではクマの引き取り先を探す一方で、臨時的に職員を雇用するなどして、クマを生き延びさせるための予算措置を講ずるということであった。
今日の説明でもそうだが、すっかりと問題の焦点が「こうなってしまっては、クマをどうするかが一番の問題」というように、まさに「クマ問題」ならぬ「クマが問題」というような状況になっている。
しかし、失われてしまうかもしれないクマの命より、失われてしまった人の命があることを忘れてはならない。
今回の直接的な事故(事件)原因は、クマが雪塊を登って、脱走したことにあり、その「脱走原因」がどのように形成されたのかは、まさに警察の手によって捜査が進められているところだが、これはあくまで、物理的な原因の特定である。
端的に言ってしまえば、脱走そのものが問題なのではなく、脱走したクマが人命を奪ったことが問題であり、そこには単にクマの本能だとかそういったことだけではなく、当然ながら、クマの飼育状態・栄養状態なども関係するだろうし、さらに言えば、開園当時からの所有者の管理体制と、それに対する行政指導がどうであったのか、ということが問題なのである。
私が、今回命を落とされた方の血縁者であればこう思うだろう。
「クマをどうするか、も大事だが、どうしてこうした事件が起きたのか、これを未然に防ぐことはできなかったのか。管理や飼育方法に不備があったことは前々から解っていたはずなのにどうしてその状態を放置してきたのか。所有者だけの責任か。」と。
2003年には県や所有者も含めた閉園方針が決まっていたという動物愛護団体の話が確かだとすれば、それから今までどういうやり取りが県と所有者の間であったのか、ということも明らかにされるべきだろう。
さらには、実質的に所有者は、経済的な意味も含めて、現在このクマ牧場を運営する能力があるとは言えないことは明白であり、だからこそ、県が人を雇ってでも当面の管理を行っていくという方針になったにも関わらず、以前としてこの経営者への「クマ牧場の経営許可」は取り消されていない。許可を出すのも取り消すのも県であることは前に書いたとおりだが、今回のような悲惨な事故を引き起こした所有者に対して未だ許可を取り消すことなく、そのままにして、運営の支援をしようというのはいささか甘くはないか。
「命」に差をつけるわけではないが、残されたクマよりも、遺された家族、ご遺族の心中を思えば、クマ、クマと言う前に、警察が行う「雪塊」の究明とは別に、20年にも及ぶこのクマ牧場の管理の変遷や、県の指導などの経緯について明らかにし、ご遺族の方や県民に説明するのが先ではないか。
また、現在の法律に不備があるのであれば、そうした不備の是正を早急に国に求めていくべきであり、6月3日に開催される県選出国会議員と知事・県幹部らとの意見交換の際に、知事からしっかりと訴えるべきだとも思い、そのことを提案したが、残念ながら「6月3日には間に合わない」との説明であった。
今回の県政協議会ではこうした過去の経緯がほとんど明らかにされることがなく、事故そのものの直接的経緯と今後のクマの扱いが中心的な話題となっていたことや、法改正を求める動きが今ひとつ鈍いことなど、私としてはいくつか気になる点について県政協議会の場でお話をさせていただいた。
今回の事件が最終的にどういう形で決着するのか解らないが、いずれにしても、牧場管理のために県が人を雇う、その予算が100万だろうと200万だろうと、そのお金の中には、ご遺族の方々の血税が1円でも2円でも含まれていることを忘れてはならない。
1円の重さ、を十分に認識して、検証と対策を行ってもらいたいと佐竹知事に切に望む。
もう1つは、夏の節電対策のことだが、これも少し長くなるので明日書くことにしようと思う。