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社会起業。

2012年06月10日

 「Teach For JAPAN」(ティーチ フォー ジャパン)というNPO法人が東京にある。

 不勉強を恥じるばかりだが、その存在を最近知った。

 「ひとりひとりの子どもの可能性が最大限活かされる社会の実現」を目指して、若者が子どもたちの学習支援をするといった活動をしている。

 親の所得格差や、学習環境の差が、「教育格差」を生みだし、それが生涯賃金の差を生みだしたり、所得格差の再生産に繋がるということについての問題意識から出発した組織とのこと。

 生活保護の制度的問題はさておき、どのような家庭に生まれた子どもであれ、「教育機会の格差」があってはならない。
 とはいえ、実際には親の経済力によって教育機会に差が出ることも事実。

 このTeach For JAPANの手本となったTeach For Americaも、当時、まだ大学生によって創設された組織だった。

 日本では、欧米と違って、こうした社会起業家が育ちづらい社会風土があると言われてきたが、この法人の代表の方は、ダボス会議での「日本を変える30歳以下のリーダーたち」にも選ばれた、まだ20代。

 行政としてそこに何ができるか、ということを考える上でも、このNPO法人の活動は非常に興味深い。
 6月議会が終わったら、法人を訪問し、いろいろとお話を伺ってみたい。

 世の中は広い。
 同じような想いを持っている人はたくさんいても、それをどういう手法、どういう立場でそれを形にしていくかは千差万別。
 私は自分自身の生い立ちも含めて、政治の立場からこの「教育格差」の解消に取り組んでいきたいと思っているが、こういう社会起業という形で世の中の変革に取り組む人もいるのだなあ、としみじみと思う。

 そういえば、8月に開催する子ども議会。
 100人ほどの児童・生徒さんからご応募をいただいたとのこと。
 今から当日が楽しみだ。

6月補正。

2012年06月08日

 今日、県政協議会が開催され、6月補正予算についての内示があった。
 釈迦に説法、あるいは、何回も聞いてるよ、とおっしゃる方もいると思うが、改めて、県議会の1年の流れについて簡単にご説明させていただきたい。

 役所は基本的に単年度主義の予算になっている。4月から翌年3月までの単年度で予算を組む。複数年度にわたる予算を組むことも可能ではあるが、そういうものばかりになると、予算の弾力性や機動性が失われるため、そういう場合は、事業ごとに複数年度の予算を組む。何カ年にわたって継続的に財政負担が必要になるような規模のものなどがこれに当たる。

 税収など歳入も年度ごとに変動するため、県庁の年間6000億の予算をまるごと、複数年にわたって決めてしまう、ということはできない。

 こういう基本形があるので、前年の2月に、翌年度の予算全体を審議し、議決し、成立させる。
 これが2月議会だ。
 県では、この2月議会で成立した「24年度当初予算」をベースとして1年の事業を執行していく。

 このほか、6月、9月、12月にもそれぞれ補正予算が組まれる。この補正予算を審議するのが、6月議会、9月議会、12月議会ということになる。
 補正予算は、たとえば、国全体予算が決まり、そのうえで、各都道府県に対して、いろいろな公共事業の予算配分などがある場合、2月議会ではまだ配分額がハッキリしないため、6月補正での対応といったことになる。
 あるいは、昨今の経済情勢から、国自身が経済対策のための補正予算を組んだりすると、これに伴って県にまた追加の予算配分があり、県も補正予算を組むということや、震災や災害などのまさに緊急突発な事態に対応するため、といった場合がある。

 ということで、補正予算は、当初予算では計上できなかったもの、その後の状況変化に対応するもの、などが中心になる。

 なお、「県政協議会」というのは、正式に議会が開会する前に、そうした予算の内容などを少し早めに議会に対して説明し、議会が始まってからの審議などを円滑に行うために、慣例として行われてきている。
 通常、開会の1週間前。ということで、今日の「県政協議会」、そして来週からの6月議会開会ということになる。

 さて、このたびの補正予算。
 今年度から新設された観光文化スポーツ部が、新しい部長、新しい組織となり、新たな視点から、当初予算には盛り込まれなかった事業などを計上した。
 これについては、後日、事業ごとに詳しくこの場で概要をご説明し、私なりにいろいろと思うところもあるので、それも合わせて書いていきたいと思っている。

 個別の事業として1つご紹介したいのが、「公共施設への再生可能エネルギー導入事業」。
 県、市町村が有する公共施設、約130施設に約12億円かけて、再生可能エネルギーによる発電設備などを導入していく。

 これは、昨年度末に国から、各都道府県に予算配分があったもので、この12億円の原資は国のお金である。

 野田総理が大飯原発の再稼働することをお決めになったようだし、これだけ原発の後遺症が日本全体に蔓延する中での再稼働決定は、国民の皆さまにとって、「不安」そのものだということは私自身も国民の一人として同じ気持ちを持っている。
 とはいえ、政治は学問や研究ではない。
 再稼働しなくても夏を乗り切れる、と主張する方々やテレビのコメンテーターもいらっしゃるが、学問や研究と違い、「それなら試してみましょう」という立場を政治は取れない。
 それが「国民生活を守る」という野田総理の言葉に繋がるのだと思うが、「再稼働するなら民主党と全面対決する」と言っていた橋下市長さえも、再稼働を認めたということは、そこには政治としての苦渋の決断があったということだろう。

 そしてまた、単に原発を再稼働しましょう、ということではなく、一方では、こうした再生可能エネルギーの導入や、そうした導入を通した地域防災や安全・安心の構築ということにも国として地道ではあるが、取り組んでいる、その一例が先ほどご紹介した12億の予算となって表れているということである。
 目立たないが、是非、国のこうした取り組みも県民の皆さまにはご理解いただければ、と思う。

 地方の首長さんたちは、こういう政府の取組や方針の上に、国から来ている予算や事業などを使いながら、地域ごとの政策や事業を実行しているのも多々ある。
 何かと政権批判するのもいいが、雇用対策であれ、再生可能エネルギー導入であれ、国が借金をしながら国民・県民の暮らしを守るために実施しているものについては、評価すべき点はしっかりと評価をしていただきたいし、国とて完全でも完璧でもない、その足らざる部分にこそ、地方の独自性や知恵を絞ってやっていくべきだと思っている。

大学再編。

2012年06月07日

 「高校を2年で卒業できる。」

 「国立大学を地域を超えて再編する。」

 「国公私立大学が共同で組織を設置できる。」

 そんな議論が今、国でなされている。
 いつ、どういう形でこれが具体化してくるか、まだまだこれから、の議論ではあるが、自分としては大変注目している。

 たとえば、秋田大学の医学部は、本県医療の維持向上という点においては欠くべからざる存在であることは論をまたない。
 また、私が卒業した教育文化学部も、少子化の影響著しいとはいえ、本県の教育力を支える人材育成を行ってきたし、今後もその役割を期待されているところであろう。
 工学資源学部も、前身の鉱山学部からの連綿とした知識や研究成果の積み重ねがあり、リサイクル産業であれ、エネルギー産業であれ、本県の産業振興にこれまた欠くことのできない存在となっている。

 これが、地域を超えて、の再編ということになってくれば、端的には、弘前大学教育学部と秋田大学教育文化学部、どちらか1つでいいんじゃないか、とか、学部としては1つにして県境を超えた分散キャンパス、ということも考えられるということになるだろう。

 我が国全体での少子化と、それを受けた「大学全入時代」という背景の中で、国公私立問わず、生き残りをかけた競争が始まっているし、こうした大学改革や大学再編はいずれ避けては通れない道だろう。
 こうした再編が現実のものになるとすれば、その過程で地域間、大学間の激しい綱引きなどが容易に予想される。
 大学自身が自らの「存在価値」を示していくとともに、それぞれの地域においても、大学の必要性や価値をしっかりと理論武装し、先手、先手でこうした再編に向かっていくべきだろう。

 また、国立大学間の再編だけではなく、県が設置している2つの大学、そして、秋田市が設置する美術工芸短大もまた、設置主体の枠を超えた再編や統合といったことも視野に入れていかなくてはならないだろう。
 単に行革的な視点から考えているわけではないが、秋田大学、秋田県立大学、国際教養大学、そして4年制化が予定されている美術短大、これらがそれぞれ別法人として運営組織や事務局を持っていることについても、いろいろと検討の余地、可能性があるだろう。

 高校を2年で卒業できる、ということも含めて、これからの日本は、少子化の流れの中でも、「日本や世界をリードする人材を育てること」こそが重要であり、そのための「教育改革」に力を注ぐべきだろうと思うし、こうした波に乗り遅れることなく、本県としてもスピード感をもった対応をしていきたいものだと思っている。

 さて、明日は県政協議会。
 6月定例議会に提案される補正予算案などの説明があるようだ。
 最近の補正予算は、「切れ目のない経済対策」といった理由などにより、カンフル剤のように予算を逐次投入していくような場合もままあるが、やはり、不要不急の事業はないか、そこをしっかりと見定めていくのが自分自身としての仕事だと思っている。補正予算だからこそ、1つ1つ丁寧に見ていきたい。
 
 

 

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沼谷 純はこんな人!

昭和48年3月
秋田市生まれ。仁井田育ち。
平成7年4月
秋田県庁入庁、企画調整課配属。
平成22年12月
政治を志し、秋田県庁を脱藩!
(退職)
平成23年4月
秋田県議会議員に初当選。
現在3期目。
令和3年2月
秋田県議会議員を辞職し、秋田市長選挙に挑戦。
令和5年4月
政治家として再始動を決意。
現在
秋田市横森在住。

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