今日、県政協議会が開催され、6月補正予算についての内示があった。
釈迦に説法、あるいは、何回も聞いてるよ、とおっしゃる方もいると思うが、改めて、県議会の1年の流れについて簡単にご説明させていただきたい。
役所は基本的に単年度主義の予算になっている。4月から翌年3月までの単年度で予算を組む。複数年度にわたる予算を組むことも可能ではあるが、そういうものばかりになると、予算の弾力性や機動性が失われるため、そういう場合は、事業ごとに複数年度の予算を組む。何カ年にわたって継続的に財政負担が必要になるような規模のものなどがこれに当たる。
税収など歳入も年度ごとに変動するため、県庁の年間6000億の予算をまるごと、複数年にわたって決めてしまう、ということはできない。
こういう基本形があるので、前年の2月に、翌年度の予算全体を審議し、議決し、成立させる。
これが2月議会だ。
県では、この2月議会で成立した「24年度当初予算」をベースとして1年の事業を執行していく。
このほか、6月、9月、12月にもそれぞれ補正予算が組まれる。この補正予算を審議するのが、6月議会、9月議会、12月議会ということになる。
補正予算は、たとえば、国全体予算が決まり、そのうえで、各都道府県に対して、いろいろな公共事業の予算配分などがある場合、2月議会ではまだ配分額がハッキリしないため、6月補正での対応といったことになる。
あるいは、昨今の経済情勢から、国自身が経済対策のための補正予算を組んだりすると、これに伴って県にまた追加の予算配分があり、県も補正予算を組むということや、震災や災害などのまさに緊急突発な事態に対応するため、といった場合がある。
ということで、補正予算は、当初予算では計上できなかったもの、その後の状況変化に対応するもの、などが中心になる。
なお、「県政協議会」というのは、正式に議会が開会する前に、そうした予算の内容などを少し早めに議会に対して説明し、議会が始まってからの審議などを円滑に行うために、慣例として行われてきている。
通常、開会の1週間前。ということで、今日の「県政協議会」、そして来週からの6月議会開会ということになる。
さて、このたびの補正予算。
今年度から新設された観光文化スポーツ部が、新しい部長、新しい組織となり、新たな視点から、当初予算には盛り込まれなかった事業などを計上した。
これについては、後日、事業ごとに詳しくこの場で概要をご説明し、私なりにいろいろと思うところもあるので、それも合わせて書いていきたいと思っている。
個別の事業として1つご紹介したいのが、「公共施設への再生可能エネルギー導入事業」。
県、市町村が有する公共施設、約130施設に約12億円かけて、再生可能エネルギーによる発電設備などを導入していく。
これは、昨年度末に国から、各都道府県に予算配分があったもので、この12億円の原資は国のお金である。
野田総理が大飯原発の再稼働することをお決めになったようだし、これだけ原発の後遺症が日本全体に蔓延する中での再稼働決定は、国民の皆さまにとって、「不安」そのものだということは私自身も国民の一人として同じ気持ちを持っている。
とはいえ、政治は学問や研究ではない。
再稼働しなくても夏を乗り切れる、と主張する方々やテレビのコメンテーターもいらっしゃるが、学問や研究と違い、「それなら試してみましょう」という立場を政治は取れない。
それが「国民生活を守る」という野田総理の言葉に繋がるのだと思うが、「再稼働するなら民主党と全面対決する」と言っていた橋下市長さえも、再稼働を認めたということは、そこには政治としての苦渋の決断があったということだろう。
そしてまた、単に原発を再稼働しましょう、ということではなく、一方では、こうした再生可能エネルギーの導入や、そうした導入を通した地域防災や安全・安心の構築ということにも国として地道ではあるが、取り組んでいる、その一例が先ほどご紹介した12億の予算となって表れているということである。
目立たないが、是非、国のこうした取り組みも県民の皆さまにはご理解いただければ、と思う。
地方の首長さんたちは、こういう政府の取組や方針の上に、国から来ている予算や事業などを使いながら、地域ごとの政策や事業を実行しているのも多々ある。
何かと政権批判するのもいいが、雇用対策であれ、再生可能エネルギー導入であれ、国が借金をしながら国民・県民の暮らしを守るために実施しているものについては、評価すべき点はしっかりと評価をしていただきたいし、国とて完全でも完璧でもない、その足らざる部分にこそ、地方の独自性や知恵を絞ってやっていくべきだと思っている。