議員報酬についてはここで何度か取り上げているが、改めてご報告すべきことができたので再び取り上げる。
その前に。
議員報酬などの基本的な部分について、書かせていただこうと思う。
議員報酬は月額約78万円となっている。
この78万円に対して、県議会独自のカットして、5%カットを実施してきており、実質の月額は74万円程度となる。
ここから所得税等々引かれたあとの、いわゆる「手取り」は、約60万となる。
このほかに、年2回のボーナスがある。
兼業議員の方は別として、私のような専業議員の場合は、国民年金、国民健康保険に加入している。
議員の特権として批判のあった「議員年金」は今はもうない。
それから退職金はもちろんない。
代わりに、というわけではないが、4年に1度、選挙があり、人によってピンキリではあるが、それなりにお金は出ていく。
このほか、政務調査費があるが、これは金額的多寡はさておき、議員活動の「必要経費」として1円以上領収書添付でやっているため、当然ながら自分の財布に入れることはない。
これが議員の報酬や保障の全体像だ。
この議員報酬が高いか低いか、あるいは、いくらが妥当か、といったことが春から議会運営委員会で議論されてきた。
この議論で難しいのが、どこに比較材料を求めるか、である。
・ 他県の議員報酬との比較
・ 県知事との比較
・ 民間企業の給与水準との比較
だいたいこの3つぐらいになるだろう。
他県との比較でいけば、秋田県の議員報酬は既に全国最低水準にある。これは間違いない。
県知事との比較でいけば、当然、知事の仕事のほうが激務なわけだから、知事の月額報酬より低くなるが、知事には4年の任期ごとに数千万円の退職金が支払われることを考えれば、何期やっても退職金のない我々議員は既に知事よりも十分に低い報酬だということになるのかもしれない。
三重県議会では、議員の月額報酬は、知事の月額報酬の7割程度が妥当だ、という結論を出したようだ。
最後に、民間企業の方々との比較、ということになるが、福利厚生、退職金その他全体で比較しないといけないだろうし、同時に、選挙費用や、政務調査費の対象とならない「自腹を切る」議員活動などの多さなど、「支出」のほうも見ていかなくてはならないだろう。
さて。
くどくどと書いた。
くどくど書かねばならぬほどに、「議員報酬」の捉え方、仕事と報酬の関係は明確になっていない。
ただ、こういう本質論、それはそれとして。
私個人としても、民主党会派としても、「議員報酬の削減」を選挙で訴えた。
震災直後ということもあったし、秋田県の経済雇用情勢ということも考えれば、5%カットでは足りない、と考えた。
当選直後、共産党とともに議員報酬の1年間25%カットを条例提案したがこれは他会派の賛同を得られず、自民党その他の会派が提出した5%カット継続案が可決した。
この5%カットは来年5月をもって期限が切れる。
そこで、そのあとどうするか、ということで議論をしてきた。
結果、各会派の意見が次のように出そろった。
現行の5%カットを継続・・・・ 自民党、社民党、公明党、県民の声
一歩踏み込んで10%カットに拡大・・・・ 新みらい、民主党、いぶき
25%カット ・・・・ 日本共産党
各会派意見が割れ、議会運営委員会としてはまとまらなかった。
この結果、それぞれの会派がそれぞれの主張に基づいて、条例案などを出し、賛成多数となれば可決、ということになる。
現在のままでは、自民党一党だけで過半数を超えているため、自民党が5%カット継続の条例案を出し、自民党議員全員が賛成すればそれで決まってしまう。
我が会派としては、今回もまた共産党とともに25%カットを主張する、ということも一時考えた。
しかし、これは結局昨年度と同じことを繰り返して、同じように否決され、何ひとつ果実が得られないことが当然に予想された。
そこで、今回は、現実的に歩み寄る余地のある「10%カット」で提案をさせていただいた。
通らなくても今までどおりの主張を続るべき、との御意見も当然あるかもしれないが、通る見込みがないとわかっていてまた同じ条例案を出すよりも、通るかもしれない10%カットを選択したつもりである。
当会派としては、主張を同じくする他会派はもちろんのこと、そうではない会派にも粘り強く交渉・説得を続け、来年の期限切れの前に少しでも10%カットに向けた合意形成を図っていきたいと考えている。
県庁職員の給与カットに関する条例が今議会には提案されている。
詳細は明日の総括審査でも知事に直接お話するが、私は、雇用対策を理由とした職員の給与カットはおかしいと思っている。しかし、それでもなお、そのことによって職員の方々の給与がカットされるならば、我々議員も、もう一段現行よりも踏み込んだ削減をすべきだというふうに思う。
県職員労働組合はじめ、常に「労働者」の味方を自認されておられる社民党さんなどは、職員がカットされても、議員報酬は今までどおりで良い、というお考えに立たれるのだろうか。
秋田の経済、雇用に対して真に緊急対策が必要ならば議員報酬においても協力すべきであるし、真に緊急対策が必要ないならば、それを理由とした職員給与カットには議会として反対すべきだろう。
緊急対策が必要であり、その財源として給与カットをやるのも当然、しかし、議員報酬は今までどおりの5%カットを続けますよ、という考えは、少なくとも私の政治信条の中にはない。
そういうことを考えながら、明日の総括審査に臨む準備を続けている。