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隠れ蓑。

2013年01月28日

 第183回通常国会が開会した。
再び総理大臣を務めることになった安倍総理が何を言うのか、その所信表明演説をテレビで見た。

 「これまでとは次元の違う大胆な政策」
「未知の領域に果敢に挑戦していく精神」
「これまでの行政の縦割りを排し」
など、「従来との違い」をかなり意識した言葉が並んでいたように感じた。

 内容を見れば、その大半を経済政策に割いた。
震災復興、外交、テロ、拉致などについてもそれぞれ言及された。

 が、そこまでだ。

 社会保障については、「経済成長がなくては社会保障も揺らぐ」と、経済政策のくだりで一言「社会保障」という単語が出てきただけ。中身については何もふれていない。
つまり、社会保障について、この第二次安倍内閣は何も方針を持っていない、国会・国民に訴えかける「所信」を持っていないということになる。

 消費税、これも一言もなし。
TPP、これもなし。

 見事に一言もなかった。

 あの、「やりましょうよ」と野田前総理が呼びかけて解散に踏み切った、国会議員の定数削減、これについてもただの一言もなかった。今国会で議論をし、方向を導き出すはずではなかったか。

 選挙の際、あれほど強く主張した国防軍や集団的自衛権の問題についても言及がなかった。
国と地方の関係をどうしていくのか、地方分権をどう進めるのか、についてもなかった。

 私からすれば「経済」をある種の隠れ蓑にして、国家・国民の間に宿痾(しゅくあ)のように根を張っている様々な問題について、何一つ語らず、示さず、背を向けたのではないかと感じる。

 まさに、ナイナイ尽くしの所信表明であり、再び、「美しい国」と連呼した、あの美しい言葉を並べて本質的なことに手をつけない「先送り政治」が始まったのかと憂いをもって演説を聴いた。

 経済再生、デフレ脱却、物価上昇。
最優先に掲げたこれらの目標。
その結果、秋田においても、ガソリン価格は上がり、ガス代・灯油代は上がり、そうした燃料代の高騰を受け、食料品その他の物価も値上がり傾向にある。
寒さと雪に苦しめられている本県では、こうした価格上昇は東京で暮らす人にはわからぬ「生活コストの上昇」を生んでいる。

 生活コストの上昇に見合う、あるいはそれ以上に賃金の上昇や雇用環境の改善がなくては、「我々庶民の暮らしはただ苦しくなっただけ。」ということになりはしないか。
そういう不安に対しても、安倍総理は応える義務があるだろう。

政治家の退職金。

2013年01月25日

 さて、昨日の続き。
 政治家の退職金をどう考えるべきか。

 総理大臣の退職金が数百万であることは昨日書いた。
 5年在職した小泉総理でも600万ちょっとだったようだが、総理大臣は辞職しても国会議員ではあり、総理を辞職しただけでただちに無職・無給にならないというようなことが「理由」として一般的に流布しているようだ。
 つまり、解散総選挙ではなく内閣交代などの場合は、総理大臣でなくなってもそのまま国会議員に戻るだけだから、というなんだかよくわからない理屈なのである。
 この考えでいけば、政治家の退職金は、その功績に対する「報償」といった意味合いや、在職中に受け取るべきだった報酬の「後払い」といったものではなく、どちらかというと失職後・退職後の生活保障というような意味合いが強いということになる。

 するとここでまた1つ、疑問がわく。
 ただの国家議員や、我々地方議員には1円たりとも退職金はない。
 選挙で落ちればただの人、いや、ただの人以下、と言われるこの世界において、落選や引退などの後に何の生活保障もないというのが現実である。
 総理大臣には生活保障が必要だが、議員には不要だ、という理屈にはならないだろう。

 佐竹知事は、自身の退職金を15%カットし、全国18位であった4000万円の退職金を、3400万円にする、そのことで全国平均並みにするという方針のようだ。
 そして、退職金については、「昔の知事はいわゆる交際費・接待費などはまったくかからなかった。今は違う。」とした上で、「県民の皆様との付き合いなどに月数十万もかかる。持ち出しが非常に多い。」というようなお話をし、3400万円の退職金について妥当であるというお考えを示された。

 昔の知事、というのは一体いつの時代か、官官接待華やかなりし頃の知事のことだとすれば、そこと比較する自体、あまり道理がないように思うが、それをさておき、この「持ち出し穴埋め」説は、退職金の概念として新しいものだ。いろいろ調べてみても、辞書を引いてもそういう考えは見つけられない。

 政治家の退職金とはかように考え方や捉え方が異なる。
 じゃあ、おまえの考えは一体どうなのだ、と問われれば、一言で言って功績に対する「報償」であってほしいと思っている。
 サラリーマンの方々はいざしらず、我々政治家は「保障」を求めて、あるいは「保障」を担保に政治をやるものではないと思う。私自身、生活をせねばならぬし、保障は喉から手が出るほど欲しいが、その安定を捨てリスクを背負うことから「政治家の覚悟」は始まると思っている。
 保障が欲しいなら、自分自身、役所を辞めてこの道を選ばなかった。
 そういう覚悟がなく、社会や制度や法律や刑罰を定め、国民の権利や義務を規定することなどできはしないし、その意味で、「政治家は喰わねど高楊枝」というぐらいの矜持が必要だろう。
 また、政治家は選挙や任期がある職業である以上、「賃金後払い」という考えに立つぐらいなら、その任期中にもらうべき報酬総額を毎月均等割りで支給するべきであり、「後払い」などは不要だとも思う。

 そのように考えていけば、政治家の仕事や、政治家という人間が、日本社会において一定の敬意を払っていただける存在であり、かつ、その仕事に対して、それを讃えるという意味で退職金をいただけるのならば、それこそが理想だろうと思っている。
 尊敬に値しない政治家ばかりだ、と言われればそれまでだが、尊敬に値する政治家を生み、育てるのは創造主たる有権者の皆様の責任でもあるから、そういう政治家と有権者の関係を良いものにしていくことが何より重要だということにもなろう。

 理想主義に過ぎるのは承知している。
 しかし、敢えて理想を言わせてもらいたい。

 首長ともなれば政治資金パーティでご自身の政治資金集めはやっておられるわけだし、人付き合いの穴埋めで3400万が必要だと言われれば、少々悲しくなる。
 せめて、「自分の4年、知事の4年の仕事はそのぐらい褒賞をいただいてもいいのではないか。それだけのことを自分はやった。」と胸を張っていただけるぐらいなら、同じ政治の場にいる者としては、あっぱれ、と言いたいところだが・・・・

 政治家の矜持 × 国民の選択 = 信頼され、評価される政治

 という方程式に近づくだろうか、これからのこの国は。

退職金について考える。

2013年01月24日

 退職金とは何か。
もともとは、大正・昭和初期の恐慌時代における労働者の大量解雇や、それに伴う労働争議の頻発というところに端を発した、「失業後の生活保障」的な性格が色濃かったと言われている。
それに加え、現在では、「在職時の功績に対する褒賞」といった性格や、「賃金の未払い部分についての支払い」といった賃金後払いの性格なども含まれたものとして、もはや日本の労働条件にとって不可欠なものとなっている。

 さて。
そこでこの退職金。
国家公務員や地方公務員の退職金の減額が話題となっており、他県では教員の方々が減額前の駆け込み退職をするということで批判されたりしている。

 私自身、県庁を退職する際に、退職金をいただいた。
16年勤めて400万円であった。
それが多いかどうか、は一概に言えないが、昨年度、秋田県が退職者に支払った退職金の平均額が約2700万ということからすれば、40年勤めて2700万と、16年勤めて400万では、何やら複雑な思いがしないわけではない。

 公務員は定年まで勤め上げるのがある種の常識であり、給与体系や退職金もそれを前提として設計されているということなのだろう。

 年功序列や定年退職を前提とした給与体系や退職手当のスタイルでは、結婚・子育てといった世代に対してむしろ優しくない。なおかつ、私のように役所を辞めて何かに挑戦したいと思っても、「退職金を原資に」というふうにはなかなかできない。

 退職金が多いか少ないか、という単に「金額の問題」ではなく、採用から退職までの「人事制度の問題」として捉えるべきではないかと私は思っている。

 と、ここまでは一般の公務員の方々の話。
政治家の場合に少し話を移したい。これは、明日にでもまた続きを書こうと思うが、さわりだけ。

 内閣総理大臣にも退職金がある。
在任期間によるが、5年超務めた小泉元総理でも600万ちょっとだったらしい。そして、小泉氏はこの受け取りを辞退した。

 ただの国会議員には退職金はない。

 地方を見れば、県議会議員、市町村議会議員にはもちろん退職金はない。
知事や市町村長にはある。
金額は自治体によって違うが、本県知事は4000万を15%減額し、3400万にするということだ。

 政治家の退職金は一体何のためか、私なりに考えてみたいと思う。

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沼谷 純はこんな人!

昭和48年3月
秋田市生まれ。仁井田育ち。
平成7年4月
秋田県庁入庁、企画調整課配属。
平成22年12月
政治を志し、秋田県庁を脱藩!
(退職)
平成23年4月
秋田県議会議員に初当選。
現在3期目。
令和3年2月
秋田県議会議員を辞職し、秋田市長選挙に挑戦。
令和5年4月
政治家として再始動を決意。
現在
秋田市横森在住。

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