安倍内閣が発足し、100日が過ぎた。
高い支持率の中で、強気な政権運営が続いている。
そういう中でも、見落としてはいけない情報がある。
1つはTPP。
100日前、国民の皆さまが「自民党」に投票したときに、このような展開を予想していただろうか。
日本は、アメリカに「全品目を交渉対象とする」ことを文書で確約したが、今、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドなどが、アメリカに続けとばかりに「全品目交渉対象」を日本に保証することを求めてきた。
さらに、カナダについては、アメリカ同様、自国の自動車産業保護のため、日本の自動車にかける関税を当面存続することを求めてきた。
こうした事前交渉の中にあって、日本が聖域と位置付けた農業は、逆にどのような「例外」も他国から勝ち取ってはいない。
現時点において、外交交渉としてこれほどの失敗はないだろう。
そしてそれを安倍政権は「聖域があることを確認した」などと国内向けには二枚舌を使って、こうした外交的敗北を糊塗している。
あの時、国民が自民党に期待したのは、「力強い外交」であり「国益を守り抜くこと」であり、そして「国民に対する曇りのない説明」であったと思うが、その期待に今のTPP交渉は応えていると言えるか。
曖昧な空気感、漠然とした期待感の中で、フワフワと耳障りのいい政治が進んでいくことに我々はそろそろ「果たして?」と一度立ち止まるべき時期にきているのではないだろうか。
このことは、「アベノミクス」も同様である。
2012年度、貿易赤字は8兆1700億で過去最大となった。
安倍政権に変わった昨年末からの3カ月間をみても、むしろ前年同期より自動車輸出台数は減った。
代わりに、原油や原材料の輸入価格が上昇、穀物類、医薬品など生活必需品の輸入コストも上昇している。
この秋田においても、運輸業にとって原油価格の上昇は大きな負担になっているし、消費者にとっても日用品の価格上昇など暮らしを圧迫してきている。
秋田経済研究所の「県内企業動向調査」によると、25年3月現在、円安誘導については、「とても良い影響がある」と「良い影響がある」の計14.4%に対し、「悪い影響がある」と「かなり悪い影響がある」が計46.0%となっている。
現時点では完全に円安デメリットが先行して現れている格好である。
これもまた、「空疎で美しい言葉だけが並ぶ政治」の弊害そのものであり、我々は、言葉に惑わされずに経済の実体面をしっかりと見ていかなくてはいけないのではないか。
次第次第に、参院選の足音が近づいてきている。
昨年の衆院選の際、「まずは景気回復」と叫んで勝利した方々がいたが、一向に景気回復の足音は近づいてこない。
我々が求めているのは「異次元」や「大胆」といった大きな修飾語ではなく、日々の暮らしの中での小さな「安心」や「実感」ではないか。
そのことに是非、安倍政権、政府自民党、そして本県選出の自民党国会議員の方々は応えていただきたいと願う。
大阪府のお隣である、兵庫県の伊丹市、宝塚市の両市長選で、維新候補が現職に敗れたとのニュース。
秋田県のお隣、青森県の青森市長選では前副知事が自民党系の候補として現職に立ち向かったが、やはり現職に敗北したとのこと。
これだけ自民党の支持率が高く組織も分厚い中でも青森市では勝てず、これだけ維新の人気が全国的に高くても(とはいえ一時期よりは落ちてきたが)、局地戦・地上戦ではやはり勝てなかった。
秋田市長選ももちろん含めてであるが、改めて、地方の市町村長選挙の難しさや、そこにおける国政政党の役割などを考えさせられた。
いずれ、何を争点にし、何を訴えるかは候補者の責任であり、それに対する批判も肯定も、もちろん選挙結果も、候補者とその陣営が受け止めるべきものであろうと思う。
有権者の側はもちろん、そうした提示された争点や選択肢に対して、自由に反応する。そこには、批判もあれば、議論もあれば、緩いものから厳しいものまで、様々な形で様々なものが出てくる。
それが選挙の宿命であり、今後、ネット選挙が解禁となれば、ますます「自由闊達」な声が百出だろうし、それを政治に関わる者は覚悟をして臨まなくてはならないだろう。その意味で、公人たる政治家が、有権者個人の「自由な声・想い」を公の場で一方的に非難するようなことは適切ではないだろう。それが、候補者の名誉を害する誹謗中傷や選挙違反に当たるようなものであれば別だが。
とかくネット選挙の解禁ばかりが話題になっているが、現行の日本の公職選挙法は、世界に稀に見る複雑怪奇なものとなっている。
そのことが、選挙をわかりづらくし、有権者から政治を遠ざけ、候補者間の戦いをあざといものにしていると私は思っている。
憲法改正をするのが選挙で選ばれた政治家だとするならば、その政治家を選ぶシステムそのものが公職選挙法であり、私は個人的には憲法改正よりも、政治家を生み出すシステムそのものを見直すほうが優先順位が高いような気がしてならない。
これは是非、政党の別なく、そして現職・候補者の別なく、国政に関わる方々でしっかりと議論をしてもらいたいものだと強く思う。
秋田県議会においても定数削減の議論が進められている。
その内容は日を改めてまた書きたいが、政治家を生み出す「土俵づくり」「ルールづくり」こそ、慎重に、かつ、最良のものを求めていきたい。
今日は久しぶりに本会議がありました。
先週の日曜日、首長選挙と同日投開票が行われた県議会議員補欠選挙において、2名の欠員となっていた秋田市選挙区、そして、湯沢雄勝郡選挙区のそれぞれで新たに2名の方が当選をされたことを受け、開催されました。
たった2年前、自分自身も初めて議員バッジをつけ、そして本会議場に入ったときの緊張感は今も忘れようもありません。
思えば、2年前は、まだ「逆風の最中」とは言っても民主党は政権の座にあり、そして、その逆風に立ち向かうようにして自転車をこぎ、当選をさせていただきました。
それからわずか2年の間で、様々なことがあり、選挙があり、結果、今の民主党の状況となったわけですが、改めて政治というものの厳しさ、急激さ、そしてそれとは矛盾するようですが、「変えようと思っても変わらない何か分厚いもの」というものも感じます。
今日わざわざ当会派までご挨拶に来てくださった新人議員の方もおられ、むしろ政治経験の浅いこちらのほうが恐縮しましたが、新たに当選されたお二人とは会派は異なるとは言え、この激しく厳しい「政治」の場で互いに切磋琢磨し、そして、私たちが暮らすこの秋田をより良いものにしていくべく、惰性やなれ合いを排してやっていければ、と思っています。
私の任期も残り2年、ちょうど折り返しとなりました。
私は現在、議会運営委員会、産業観光委員会、そして経済活性化・雇用対策特別委員会の3つの委員会に属していますが、議会の各委員会は2年ごとに改選期を迎えます。
この3つの委員会に引き続き所属するかどうか、あるいは、このほかに新たな仕事が出てくるかわかりませんが、1年目より2年目、2年目より3年目と、仕事の効率と密度を上げていかなくてはいけないと思っています。
また、会派の代表としては、また今年度も難しい場面がいろいろとありそうですが、タフにやっていきたいと思っています。
議会の外に出れば、民主党秋田県連の幹事長という仕事もあるわけですが、前述したような状況の民主党ゆえ、離党をされる方も出てくるのだろうと思いますが、私自身は、昔からキツイときほどむしろそこに向かっていくというような妙な性格のため、今の仕事、責任をしっかりと全うしようと思っています。
維新の会がどうとか、アベノミクスがどうとか、いろいろなことが巷で言われますが、結局、この秋田でアベノミクスの効果がないことがいずれハッキリするでしょうし、維新の会がこの秋田に根付くことがないことも明らかです。
そういう「来たるべき時」にしっかりと役割を果たせる政治家でありたいと自分自身思いますし、そういう勢力というものを秋田に作っていかなくてはいけないとも思います。
今日は、年度当初の想いの一端を述べさせていただきました。