「好循環実現国会」が始まっている。
私なりに解釈すれば、金融緩和による円安、赤字国債による公共事業などによって企業を潤わせ、その潤いが雇用や所得という形で家計に反映され、それが消費に繋がることで、企業収益に還元されるという循環を指しているのかと思っている。
一見、正しく聞こえるが、今日、公表された総務省の統計によると、2013年の本県の人口移動、つまり、転出と転入の差引は、4595人のマイナス、転出超過であった。昨年は、3574人のマイナスであったから、人口流出が拡大していると言える。 一方で、東京などの首都圏は、9万人の転入超過。昨年は約6万人であったから、こちらは逆に大幅に人口流入が進んでいることになる。
総務省はその原因を「景気回復が進み、企業が多く集まる東京圏に人口が集中する傾向が強まった」と分析しているようだ。
好循環の実態がここにある。バブル景気のころも、東京は景気回復、消費拡大という「好循環」の中にあったが、秋田はそのとき、むしろ人口流出は加速した。
結果、秋田では人口流出の加速が地域の市場や需要を縮小させ、そのために企業の収益が上がらず、雇用や所得に繋がらず、結果、さらに人口流出が加速するという悪循環が続いている。大都市や大企業が豊かになれば、いずれ地方が豊かになるという経済成長モデルそのものが誤りであることは歴史が示している。
大都市や大企業を介さずに、地方や中小企業をダイレクトにテコ入れする政策や制度が必要だ。法人減税をやるならば、地方の企業にのみ適用する減税措置をやるべきだし、特区ならば、大都市ではなく、人口減少にあえぐ地方にこそ導入すべきだ。本県選出の与党議員には、アベノミクス一辺倒ではなく地方の悪循環を断ち切るための政策を真剣に考えていただきたいものだ。