「この道しかない」
安倍総理が好んでお使いになる言葉だ。
アベノミクスという劇薬を服用しなければ日本経済は立ち直らない、それ以外の処方箋はないのだ、という意味合いとして使われてきた。
そして、この安倍総理の思想に呼応するように日銀は「異次元金融緩和」の道をひた走り、日本は1ドル110円という円安にまで達した。
円安によって日本経済が好転するかどうか、という論点についての私見を言えば、これは一時しのぎと言わざるを得ない。一部の大企業が儲かるということは事実であろうし、そこからの「おこぼれ」もないとは言わないが、これで日本経済が本当に好転するほど日本の経済構造や社会構造は単純ではない。
日銀は再び、追加の金融緩和を決定したようだが、これでまた円安傾向がしばらくは続くかもしれない。この大量に刷られた「円」がどこにどう消えるのかは私には定かではないが、どうも秋田あたりでは、経済の好転とは逆の流れになっているように思える。
円安で潤うのは最終製品などを海外に直接輸出できるような企業や、それに付随するサプライヤーであり、秋田の企業はむしろ燃料代や原材料代の値上がりによって苦しいところがほとんどであろう。
その意味で、秋田の経済は未だ滑走路を走ったまま離陸していない、と私は見ている。
そして、小手先の金融緩和を連発するにとどまっているアベノミクス、未だ姿を見せないままの「第3の矢」では、結局、離陸しないまま経済の後退局面を迎えると私は予想している。
悲観的に過ぎるかもしれないが、敢えて言えば、これ以上の円安誘導は地方には何ももたらさないということを指摘しておきたい。
「この道は間違っている」と私は言いたい。