国民文化祭が終わり、エリアなかいちが店舗改装に入った。
今年に入り、核テナントや生鮮部門が相次いで撤退し、施設内は巨大な空洞が生じていたが、これから1カ月超の改装期間を経て、その空洞はとりあえず「埋まる」ことになる。
新たに入ったのは、美容皮膚科、飲食店、そして産直施設だ。
とりわけ目を引くのは美容皮膚科。一階の売り場面積の約3分の1を占めることになる。
なかいちの商業施設は当初、北野エースという高級志向の食料品店と、生鮮食品を中心としたいわゆるスーパー、そして飲食店という構成でスタートした。
ここから読み取れるのは、近隣住民の「台所」としての機能を中心に「日常」によって賑わいを創出しようという意図だ。
今回のリニューアルではそこから大きく転換したと言ってよいだろう。
美容皮膚科に日常的に行くという人は、あまりいないだろうし、飲食店も月に1、2度行くのが関の山だろう。つまり、日常から「非日常」にシフトしたと私は受け止めた。
問題は、その非日常的ラインナップが賑わいを創出するものになるかどうか、だが、私は甚だ懐疑的と言わざるを得ない。
そもそも「賑わい」とは何か。言わずもがな、なかいちという点が賑わうことではなく、なかいちという「仕掛け」を経由して、仲小路や広小路、中心市街地全体に人の流れ、賑わいが生まれることこそが「賑わい」の意味であり目的である。
その意味では、飲食店や美容皮膚科で消費をしてもらうためのなかいちではなく、むしろ周辺地域の飲食店で消費をしてもらうための機能こそがなかいちには求められている。
究極的に言えば、「客」ではなく「人」を集めるのがなかいちであり、なかいち自体で消費してもらう必要は本来ないのである。
周辺飲食店から客を集め、飲食店で消費させるためになかいちを作ったわけではなく、周辺飲食店で消費してもらうためになかいちはあるべきだ。
そう考えると、今回のリニューアルも既に黄色信号が灯っていると言わざるを得ない。
135億円をかけた「なかいち」は一体誰のために、何のためにあるのか。
そのことが漂流している。