県が、TPPが発効した場合の県内農業等への影響額を試算し、それを公表した。
約40億円、生産額が減少するという。
これは、先月に国が公表した試算手法・結果をベースにしたもので、今、全国の都道府県で同様の試算が行われている。
TPP参加への賛否や是非をまずは横に置き、この試算についてだけ述べれば、極めて甘い試算になっていると言わざるを得ない。
特に、コメの生産額減少はゼロ円としたあたりは、「輸入米増加分と同じ量の国産米を備蓄米で買い入れるから、流通量に変化はなく、コメへのマイナス影響は1円もない」とした国の試算根拠をそのまま受け入れた形となっているが、素人にも分かるこの詭弁をそのまま採用したことは誠に残念だ。
「最悪を想定し先手を打つ」という民間企業であれば当たり前の危機管理からすれば、輸入米の流通量が増えても、奇跡にように何もかもうまくいって、国内のコメ市場にいかなる影響も変化も起きないということを前提に、本県の農業の未来を考えていくことの珍妙さはいかほどだろうか。
年始になってから、ずいぶん、夢や希望を語り始めた佐竹知事ではあるが、現実を見据えた地に足の着いた政策を期待したいし、そのような議論を来月から始まる2月定例議会でもしていきたい。
佐竹知事が、奥羽新幹線や羽越新幹線について、その整備に向けて取り組んでいきたいとの意思表示を新年の定例記者会見でされたようだ。
秋田は遠くない将来、人口70万時代を迎えることが想定されている。何でもかんでも「縮み思考」ということは良くないし、だからこそ、果敢に打って出る、攻めの施策を展開することも重要だと思うが、果たして、この2つの新幹線が「攻めの施策」となるものだろうか。
仮にこの2つの新幹線が着工するとしても、地元負担が生ずる。
ちなみに、青森新幹線が函館まで延伸されたが、これに対する青森県の負担額は、青森県内における事業費約2100億円のうち3分の1となる700億円程度となっているようだ。
佐竹知事は、この二つの新幹線を「次の時代の夢を県民に持ってほしい」とおっしゃったようだが、これほど高額な夢を県民の皆さまが買うとは思えないのだが。。。。
夢を語るのもいい、顔を上げて未来を見つめていくことも結構だ。
しかし、足元で起きていること、日々の暮らしの中で起きていることから目を背けてしまっては、それは夢ではなく「騙り」であろう。
議会の場でしっかりと議論していきたい。
1月4日、新年早々から国会が始まった。
極めて異例の開会時期となり、本県選出の国会議員の方々も本当であれば地元に残り、各種新年行事への出席に追われるところであろうが、国会日程の合間を縫ってのやりくりということで、傍から見ていてもなかなか難儀そうである。
半年間にわたる今国会では、何が焦点・論点になるのか私には定かではないが、個人としては、「地方をどうするか」ということを真剣に議論していただきたいという思いでいる。
安倍政権になり「地方創生」という言葉が一人歩きし、あたかも何かが変わったかのような、何かが始まったかのような錯覚に陥りがちだが、首都圏から地方に人を戻すということで打ち出された政府機関の地方移転も、本県に限らず、まともに地方に移転しそうな政府機関は見当たらない。
地方で何らかの事業を開催するのも、地方移転の一環だ、などという詭弁を弄しているぐらいだから、これも相当?い確率で掛け声倒れになるだろう。
地方創生を進めるための地方への交付金も、予算規模が小さく、しかもおそらくは長くでも数年でこの類のものは終わってしまう。カネの切れ目が政策の切れ目、とは言わないが、こうした交付金を地方にばら撒けば、地方が活性化すると本気で政府が考えているなら、笑止千万である。
地方は、程度の差こそあれ、どこもかしこも「少子高齢化・人口減少と市場縮小・需要喪失」のデフレスパイラルに陥っている。
地方自らが政策や地域資源に磨きをかけ、果敢に挑戦していくことが必要なことは言うまでもないが、それで何とかなるほど地方が置かれている現状は甘くない。
「外憂」に関する議論も重要であろう、将来世代への責任という意味でも「財政健全化」の問題も重要だろう。
しかし、足元で起こっている「地方の衰退」は、こうした問題以上に深刻だと私は思うし、少なくとも、今の政府は、東京一極集中をむしろ加速させ、地方の疲弊には根本的な手を打つどころか、わずかな交付金を地方の鼻先にぶら下げ、誤魔化しているようにしか私には感じられない。
地方の人口減少が止まらなければ、いずれ首都圏からも活力は失われ、国力が減退していくことは自明だ。国においては、「地方の努力にお任せ」ではなく、疲弊する地方をどうするのか、その抜本的な処方箋を真剣に議論していただきたいし、地方においても、少子高齢化という課題に対してスピード感を持って政策を打ち出していかなくてはならないだろう。
私自身、今年は特に地に足を付けて、しっかりと政治活動を続けていきたいという思いも込め、今年を表す一文字を「地」としたい。