田中文部科学大臣の下した「不認可」という決断が、全国的にも、また、秋田県においても大きな波紋を呼んでいる。
大学全入時代、大学淘汰の時代、を超えて、今は「大学倒産の時代」と言えるだろう。
我が秋田県においても、それは避けがたい。
国公私立問わず、将来的には統合・再編、法人組織の一本化などを進めていかなくてはならないだろう。
その問題意識は是とするし、どこかでそれを行動に移す必要があったことも理解する。
しかし、今回の不認可によって、学生や生徒らの進路や将来設計に影響を与えたことは間違いない。
そのことは、既に改修に着手している、といった様々な事実の中のいかなることよりも重いと思う。
政治はときに、「痛みを伴う」決断をしなくてはならない。
法律や制度、政策を変更する際には、必ずそのことで利害が発生する。
全ての日本国民が喜ぶ、是とする政策もない。
しかし、政治家の責務として、せめて、その利害や痛みを自分の中に置いて、重い重い石を呑みこむような思いで、そうした決断をしなくてはならないと私は思う。
進路変更を余儀なくされた学生らの前に立ち、その子らの瞳をまっすぐ見て、「日本の大学は多すぎるから、あなたは今から自分の人生を考え直さなくてはいけないのよ」と、田中大臣には言ってもらいたい。
これを政治決断、政策判断と言うなら、せめて、そうした子らの前で堂々とそのように説明をし、その困惑や批判や涙を正面から受け止めてもらいたい。
政治判断が人の人生を変えることがあるならば、その人生の重さに耐えてこその判断であり、政治家であろう。
政治経験も浅く短い浅学の身であるが、民主党に籍を置く者として、今ほど情けない気持ちになったことはない。
関係者の皆さま、御父兄の方々、そして4月からの入学を目指しておられた学生・生徒の皆さまに深くお詫びしたい。
私の立場で何ができるのか、考えていきたい。
東京で、民主党全国政策担当者会議があり、出席してきた。
各都道府県連から、私同様、政調会長のような立場にある方々が集い、党本部の政調会長である細野さんらとの討議を行ってきた。
議論の中身は、端的に言って、「ここまでの検証とこれからの指針」に尽きる。
検証という意味では、民主党が掲げたマニフェストがどの程度達成されたのか、あるいは、何が原因で達成できなかったのか、という点検と、それをいかに国民の皆様に伝えるか、ということになる。
指針という意味では、「次期マニフェスト」という形に表れるものもそうでないものも含めて、民主党がここから何を目指していくのか、政党としての原理原則ということになる。
各県連からは、「検証」について、「しっかりと反省をし、まずお詫びから入るべきだ」という意見もあれば、「できたことも含めて堂々と説明をすべきだ」という意見もあった。
私からも、「検証をいくらやって、実績や数字をいくら並べても国民は「納得」はしてくれない。納得してもらうのではなく、民主党が国民を「説得」するという姿勢が必要。これだけはやらせてくれ、民主党でなければこれはできないのだ、というメッセージをどうやって伝えるかを考えなければ。」という発言をさせていただいた上で、「シンプルに有権者の記憶に留めてもらえるのは3つぐらい。そう考えたときに、1つは、増税までしてやりたかった社会保障がなんだったのか。2つめは、疲弊している地方の雇用や産業をどうやって再生するか。そこにはエネルギー産業も入ってくるだろう。そして3つめは、地方分権。地方の首長が地方自治を放置して国政に首を突っ込んでくるいびつな状況に対して、政権政党として、地方分権をこうやる、ということを示す。この3つではないか。」と提案させていただいた。
いずれ、これから我々民主党が提示する「やりたいこと」は、次の選挙の結果、仮に野党に転落することになっても、我々が守っていくべき「道標」にしていかなくてはいけないし、節操なく離党するような議員を再び作らない意味でも、しっかりと共有していかなくてはならないものだろう。
会議の最後に細野さんがこう挨拶をされた。
「自民党や第3極との政策の違いが多々ある。そこはしっかりと訴えていきたい。自民党は、「自助・自立」ということを言っているが、実は、民主党議員の多くが、自分で志を持って自ら政治の道を選んだ人間であり、議員個人の価値観・生き方としては、二世議員・世襲議員ばかりの自民党議員よりもはるかに自助・自立的である。しかし、政治家として、政治の役割は何かと問われれば、民主党はハッキリと「共助」だと言える。民主党の政治は、「共助」を目指すのであり、そこは世襲議員らが自助・自立と言っているのとは明確に違う。」
私自身、自分の生き方・考え方と非常に共鳴したので、ここで敢えてご紹介をさせていただこうと思う。
なお、私の考える最大の「共助」とは、「教育」であり「トランポリン型のセーフティネット」であるが、このことは12月議会の場などを通じて私なりの考えを説明していきたいと思っている。
自助か、共助か。
原発か、脱原発か。
軍事・軍備か、平和・専守防衛か。
単に、民主がダメだから自民ではなく、政策が明確に違うことを国民の皆さまに是非感じ取っていただきたいと思うし、そのための説明責任は我々民主党にある。