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文化会館の耐震性調査について。

2017年01月30日

 秋田市が解体方針を打ち出している文化会館について、耐震性に問題はないという調査結果が出た。それでも、秋田市は解体方針を変えないという。

 理由は2つ。

 1つは、解体して県民会館と統合し、新たに文化施設を整備すれば、国からの財政支援が見込めるということ。

 もう1つは、文化会館をこのまま使い続けるための改修コストと、新たに施設整備する場合の市の財政負担額を比較した場合、新しく整備したほうが安いということ。

 つまり、使い続けるより新しくしてしまったほうが「安上がり」だから「耐震性に問題はないけれど解体してしまおう」ということのようだ。

 この理由の詭弁とウソを指摘しておきたいと思う。誠に不誠実かつ不適切な説明をしていることを見過ごすわけにはいかない。

 まず、国からの財政支援について。

 今回、国から補助金を受けようとしているわけだが、この補助金は、文化会館を解体しなくても、2つの施設を統合しなくても受けることができる。

 あくまで中心市街地内に新たな公共施設を整備する際に受けることができる補助金なので、文化会館の存続や廃止は全く補助金に影響を与えない。

 よって、統合すれば補助金を多くもらえる、あるいは、統合しないと補助金がもらえない、というような世論があるとすれば、これは秋田市の全くの説明不足である。

 その上で、施設の統合をすることが要件とされているのが、「交付税措置のついた地方債」というものだ。

 これについては、具体的な数字を挙げながら説明をしたい。

 新たな施設整備に200億かかるとする(実際はもっと多くかかるのだが、ここでは仮定値)。

 200億のうち、50億円は国の補助金を受けるとする。(繰り返しになるがこれは文化会館の統廃合とは無関係)

 すると、残りの150億は県と市が自前で用意しなければいけない。

 しかし、当然、150億というお金を一気に用意することはできない。車のローンと同じで、頭金(現金)を一部用意して、残りはローンを組むということになる。このローンを「地方債」という。通常の地方債は、返済額の7割程度。つまり、150億の100億程度は借金、残り50億は現金で用意しないといけない。

 ここで、公共施設を統合して新たなものにする場合、有利なローンが登場する。

 それが、「交付税措置のついた地方債」というものだ。

 通常、7割までしかローンを組めないものが、施設を統合する場合には、9割までローンを組めるという法律がある。

 よって、150億の135億までは借金できることになる。頭金で用意しなければいけないのは15億で済むということに。

 お、これは有利だ!と皆さまは思うだろうか?

 クルマと同じように、頭金を少なくしてローンを多くすればするほど、支払い総額は多くなる。自治体の借金だって、金利をつけて返済をしなければならないからだ。

 つまり、これは有利どころか、将来世代に対してはより負担が増える、支払総額を増やす措置ということで、むしろ不利な制度ということになる。

 では、「交付税措置のついた」という意味はどうなるだろうか。

 これは、借金した135億円のうち、半分、つまり約70億円については国が毎年の元金返済分を県・市にお金をあげるよ、という措置だ。

 で、県と市は、これがあるから、県・市の負担額は15億(頭金)+70億(借金の半分)だという説明をしている。

 しかし、ここでキチンと捉えておかなくてはいけないのは、「地方交付税」というものだ。

 確かに、国は全国の地方自治体に「地方交付税」というものを毎年配分している。しかし、この地方交付税は総額が決まっているし、総額は増えていない。つまり、国=親、自治体=子ども、だとして、親は毎月1万円という決まった「小遣い」を5人の子どもに分配するとすれば、子ども1人は毎月2000円しかもらえないということになる。

 秋田県・秋田市がもらっている「小遣い=地方交付税」は、この5年、あるいは10年という期間で見ても、減ることはあっても増えていない。

 親(国)自体が、家計の半分を借金で賄っているような異常事態が続いているのだから当然だ。

 だから、地方交付税で借金返済分をあげるよ、というが、結局は2000円というお小遣いの額は変わることはなく、その2000円の中に「借金返済分も含んでいるからうまくやり繰りしてちゃんとお金を返すのだよ」ということなるのだ。

 このような国の詭弁を真に受けて、借金返済額が半分で済む、と考えている県・市はなんとお気楽な思考回路か、と思う。

 繰り返す。

 国からもらえる補助金は、文化会館の存続・統合に関わらず、一定だ。

 統合が条件の地方債は、当てにできない仕送りを当てにして、将来世代により多くの借金を負わせるだけのものだ。

 よって、文化会館の解体によって、有利な財政支援が受けられるという説明は「皮算用」と「詭弁」だらけであるということを指摘しておきたい。

 2つめの理由、「改修コストと新設コストでは新設したほうが安い」という市の説明についても、明らかな間違いあるので、これについても日を改めて指摘したいと思う。

 今日はここまで。

秋田市長選について。

2017年01月27日

 先週末から今週にかけ、私自身の秋田市長選への出馬について幾つかの報道がありました。

 このことについて、現時点での私自身の考えを書かねば、と思いつつ、タイミングが遅れてしまいました。

 まず、秋田市長選に出馬するのかどうか、ということで言いますと、「熟慮中」という言い方になります。

 私が県議会において、佐竹知事に厳しく対峙してきたことから、なぜ知事選ではなく、市長選なのか、知事選に向かうべきだ、というご意見もよくいただきますが、知事選という全県選挙を戦うには、組織体制や選挙資金、知名度など、様々なことが現実的に必要になります。

 県政への想いはさておき、私自身にはまだ残念ながらそうした力はないと認識していますし、一方で、今の秋田市政が、県の下請けのようになってしまっていて、およそ30万都市としての自立性や実力を発揮できていないという状況について、強い懸念を感じていることもまた事実です。

 県都秋田市がもっと都市としての魅力や活気、利便性を取り戻すことができれば、秋田県全体へのプラスの効果は計り知れないとも思います。

 そうした意味で、秋田市長選への出馬を考えているというのがその理由です。

 政策的なスタンスで言いますと、県市連携の文化施設整備については、「見直しが必要」という立場であり、特に和洋高校敷地を駐車場とすることについては、即時中止すべきと考えています。

 また、外旭川地区への民間企業によるまちづくり構想については、現市政のように門前払いを続けるのではなく、きちんと協議・交渉のテーブルにつき、オープンかつ徹底的な議論を行うべきだと考えています。

 一方で、同じ県議会から、別の方が既に出馬表明されていることもありますので、そうした中で、自分自身が何を為すべきか、何ができるか、をキチンと考え、遠からず結論を出したいと思います。

 といったような、既に報道されたような内容をなぞったようなものはさておき、私の素直な想いを最後に一言だけ書き記せば、もういい加減「現状維持」の政治から抜け出さないと秋田が沈没してしまうという危機感、もうそろそろ若い世代に秋田の未来を託してもらいたいという責任感を強く感じています。

 責任世代として、十分に考えたいと思います。

トランプ大統領誕生。

2017年01月23日

 トランプ大統領が誕生した。

 大統領就任後、初めての首脳会談はイギリスの首相とのこと。

 EUからの離脱を決めた首相と、アメリカ第一主義を掲げる大統領ということで、強いメッセージ性を帯びたセッティングなのかな、とも思う。

 今後のアメリカの動向を懸念する声は国内外から多数上がっているし、私自身も、さてこれからどうなるのかな、という気もするが、ある意味では、こういう国際的な流れというのは当然と言えば当然である気もする。

 ヒト、モノ、カネが国境を越え、自由に行き来するようになり、時間距離の概念さえもなくなってしまうような高度情報化社会が地球規模で出来上がってしまったぶん、むしろその反動で「国家」と何かということが強く問われる時代になったように思う。

 国家が、自国民の幸福を最大化するために存在するとすれば、これほど複雑に絡まりあった国際社会の中で、シンプルに「自国の国益に適うかどうか」を国家運営の軸にするというのは、非常に解りやすい論理だろう。

 そうした意味で、これからの日本の外交もまた、良し悪しは別として「自国の国益の最大化」をより先鋭に目的化した国々との間で、「日本の国益の最大化」を押し出しつつ、落としどころを探すというより一段難易度の高い局面が多々出てくるように思う。

 これを地方自治に置き換えたとき、県民や市民の幸福の最大化というところに、どれだけシンプルに、最短距離で進んでいけるか、そういう力強い前進力が問われる時代にもなったように思う。

 

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沼谷 純はこんな人!

昭和48年3月
秋田市生まれ。仁井田育ち。
平成7年4月
秋田県庁入庁、企画調整課配属。
平成22年12月
政治を志し、秋田県庁を脱藩!
(退職)
平成23年4月
秋田県議会議員に初当選。
現在3期目。
令和3年2月
秋田県議会議員を辞職し、秋田市長選挙に挑戦。
令和5年4月
政治家として再始動を決意。
現在
秋田市横森在住。

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