昨日の地元新聞の一面に佐々木元東大学長の論評が掲載されていた。
その内容には、私ならずとも、驚いた方が多かったのではないだろうか。
特に県政に関わる人間においては。
震災後の秋田の観光が惨憺たる状況であること、そして、それに対応すべき県庁などの行政が、他の地域に比べて極めて不活発で消極的との評判が東京で流れていると指摘。
さらに、それが本当ならば、「人災」であり、秋田が取り残される可能性を自分で広げているようなものだ、と述べている。
不活発で消極的、と評されてしまっている秋田県政。
では、お隣山形はどうなっているか、と思い、調べてみた。
すると、こんなニュースが。
「6月17日 吉村山形県知事が、県のアンテナショップ(東京・銀座)で、県内の旅館・ホテル・旅行業者らとともに観光PR」
これと同時に、本格出荷時期を迎えるサクランボのPRや各旅行会社への訪問なども行ったようだ。
「山形がけん引役となって東北観光を盛り上げたい」との抱負も吉村知事は述べたようだ。
我が秋田県知事は、今回の6月定例会でも各議員の質問に対して、
「秋田が観光面で東北復興のリーダーとして頑張りたい」との抱負を述べる一方、被災地支援などでの動きが遅いのでは、との指摘に対しては、「無用のパフォーマンスはしない」と答えている。
しかし、まさにこうしたパフォーマンスの1つ1つが、特に観光などの面においては重要であるし、是非、佐竹知事にも復帰後のパフォーマンスを期待したい。
それが無用かどうかは、本人ではなく県民、あるいは「時」が判断してくれるだろう。
「踊る阿呆に見る阿呆どうせアホなら踊らにゃ・・」の精神でやってもらいたい。
そしてまた、そういう精神で前向きに取り組む民間観光・宿泊業者が、伸び伸びと頑張れるような環境づくりにも努めてもらいたい。
話は変わり。
県議会の防災特別委員会が県内の備蓄倉庫などの状況視察に行っている。
我が会派からは、小原議員も委員として視察に行った。
それぞれの視察の詳細は、現時点で私は把握していないが、備蓄に関して、1つ非常に身近な「気になる事例」を挙げたいと思う。
秋田市民としての視点になることをお許しいただきたい。
秋田市の防災計画によれば、秋田市内の食料備蓄は市内11か所で行われてる。
東西南北、ほぼ、地理的にはまんべんなく分布している。新屋支所、土崎支所をはじめ、私の母校である御野場中学校、私の住まいからの最寄りでは城東中学校など。
しかし、それで安心してはいけない。
その11か所の備蓄内訳の偏りがすさまじい。
たとえば、紙おむつは、11か所のうち、2か所にしか備えられていない。
さらに驚くことに、米もパンもない、つまり主食になるものが何もないところが3か所もある。
新屋支所、土崎支所、そして河辺水防倉庫だ。
新屋地区の備蓄倉庫は新屋支所のみであり、旧河辺町地地区にはこの水防倉庫のみである。
つまり、その地区唯一の備蓄倉庫に、米もパンもなければ、幼児のための粉ミルクも哺乳瓶も紙おむつ、たったの1つさえないという惨憺たる状況だ。
私は市議会議員でも、市長でもない。
しかし、秋田市民としてこの状況は非常に憂慮しているし、河辺地区にお住まいの方や、津波や河川の氾濫などの影響を受けやすい新屋地区の方々などはこの事実を知ればどれだけ不安になるかとも思う。
防災に関して、県には県としての役割、県議会には県議会の議論すべきことがあるが、是非、秋田市政においても、「本当にこれでいいのか」「このままでいいのか」という議論をしっかりとしてもらいたいと思う。
命を守ることが行政の最低限の、そして、最初の役割だと私は思っている。
たまたま秋田市のことを事例に挙げたが、県民の皆さま、是非、ご自身が住んでいる市町村の備蓄体制や最寄りの避難所、備蓄場所などをもう一度よく確認していただきたい。
「備蓄倉庫があります」、「備蓄しています」の先、何がいくつ、まで確認してみていただきたい。
きっと各市町村、気が引き締まることでしょう。