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QOD

2013年01月22日

 アルジェリアの事件が大きく報道されている中、静かに社会保障に関する国民会議がスタートした。

 この国民会議は、消費税増税を決めた3党合意の中に盛り込まれたものであり、まさに増税という「痛み」に対する将来的な「安心」を創り上げるための国民的議論を行う舞台として設置されたものだ。

 この会議で、麻生副総理が終末期医療や延命治療について、「さっさと死ねるようにしてもらう」や、その終末期医療を「政府のお金でやってもらっているなんて思うと寝覚めが悪い」と発言し、それを後から撤回したとのこと。

 麻生氏の失言は昔から有名であったし、総理大臣在任時にも「高齢者は働くことしか能がない」といった発言をされるなど、いろいろと話題の尽きない方であったから、この方の資質をいまさらどうこう言うつもりはない。

 変わっていない、というだけだ。

 ただ、今回の発言は単なる「言い過ぎ」では済まない。
増税を国民にお願いする立場として、そして、その血税によって社会保障の充実を図ろうとする非常に難しい時期において、「政府の金でやってる」ということでは、一体その「金」は誰の金か、誰から預かっている金か、という話になる。国民不在の、納税者不在の「国民会議」なら、やめたほうがよい。

 話を本筋に戻せば、我が国には未だ「終末期」に関する明確な定義はない。
厚生労働省でも、日本医師会でも、一言で言えば「ケースバイケース」としており、難しい問題を孕んでいることを浮き彫りにしている。

 難しさの根幹にあるのは、「尊厳死」の問題だ。
どう生きるか、ではなく、どう死ぬか、「QOD(死の質)」ということを社会や家族や医療の現場がどのように担保していくかということこそが、この「終末期医療」の問題そのものである。

 医療は日々進歩する。
これが絶対ということもない。
そういう中でも、「現在の医療技術においては回復の見込みがない余命数か月の状態」という状況になったときに、本人の意思によって「死に方」が選べるということが法的に担保されなければ、医者は治療を簡単に止められないし、家族も大事な人の死を受容できないままであろう。

 麻生氏はまた、終末期医療を受けている人間を「チューブの人間」と言い、「月に1千数百万かかることを厚労省は知っている」とも発言したようだ。

 一連の麻生氏の発言は、「チューブの人間はさっさと死んでもらいたい。医療費ばかりが増大して国に迷惑をかける。」というふうにしか私には聞こえない。

 我々は、生きる権利を持っている。
そしてその権利を行使するために、納税の義務を負い、勤労の義務も負っている。
どう生きるか、は、どう死ぬか、と表裏一体であり、我々は国家の一員として様々な義務を負い、やがて死を迎える。
そのときに、「国には金がないからさっさと死ね」ではあんまりではないか。

 私の母は今幸いにして元気であり、未だ細々とパートタイマーとして働いている。一人で息子二人を育て上げた気丈なこの人は、延命治療などまっぴらごめん、と私に言い続けているが、そのときが来たら、私も悩み、揺れるだろう。
私自身が「死に向かう母」を受容するまでの時間も必要だろう。

 もし、そんなときにテレビの向こうで政治家が「政府の金で生かされているんだから」と言うのを聞いたらどう思うか。

 政治家こそ、国民に生かされている。
そのことを忘れずに政治に向き合っていきたい。
 

 

踏み込み具合。

2013年01月19日

 昨年末、12月議会において一般質問を行わせていただいたのだが、その際、私は「県内に山ほどある遊休地、遊休工業団地などに県自らが目がソーラーを設置してはどうか」との提案をさせていただいた。
もちろん、秋田県内でも民間事業者が県有地や市有地を借りてメガソーラー建設に乗り出しているし、これはこれで大いに結構なことではある。
それでもさらに「県自らが」という提案を私がしたのは3つの理由からである。

 1つには、建設コストは毎年得られる売電収入で回収でき、いずれはコストを上回る収益を生み出すことが予想できる発電事業であるのだから、せっかくのメガソーラー事業を指をくわえてみているのは非常にもったいないということ。
県は既にダムなどでの発電事業に取り組んでいる「事業者」でもある。

 2つめには、このメガソーラー建設を自治体自らが取り組むことで、新たな公共事業として県内企業への経済効果をもたらすことができるということ。風力発電と異なり、長い期間の環境アセス実施も不要であり、部品調達も容易であることから、風力発電よりはるかに稼働に至るスピードが速い。つまり、それだけ経済に与える影響も早い。

 最後は、買取価格の問題である。
現在、買取価格は1キロワットあたり42円であり、この買取価格ゆえに、採算性が極めて高い事業となっている。来年度以降、おそらくはこの買取価格は順次引き下げられていくものと思われる。
何円が採算ラインか、は今後の部品のコストダウンなどによっても変わってくるが、こうした高い買取価格が続いているうちにメガソーラーに参入するほうが「得」なことは当然である。
民間事業者であれ、自治体であれ、ここには「先行性のメリット」が働く。

 私の提案に対しては、佐竹知事はあくまでも「民間事業者の参入支援」というスタンスを貫くという趣旨でお答えがあった。

 それはそれ、知事のお考えであるからやむを得ない。

 そんな中で、先日、あるニュースを見た。
新潟県が、三たび、自治体メガソーラーの建設に乗り出すというものである。
遊休工業団地を使って、第1弾、第2弾とメガソーラーが建設され、これらはすでに稼働、売電がされているのだが、これに加えて、今度は県・市が共同所有する競馬場跡地に第3弾を建設をするようだ。
1キロ42円という買取価格のうちに東北電力と買取契約をしたい、という気持ちもあって、急ぎ建設・稼働に向けて準備を進めるらしい。

 今、全国各地、どの地方も政策課題は同じだ。
少子高齢化、産業の空洞化、地域コミュニティの崩壊・・・

 そして、これらに対する処方箋もまたそれほど差があるわけではない。
婚活支援、子育て支援、買い物支援、エネルギー産業、食品産業、移住・定住促進・・・

 同じ病に同じ治療方針で臨むとき、最後に差が出るのは、手術のスピードと適格性、あるいは用いる薬の強弱といった部分ではないだろうか。
各自治体、各首長の治療に対する「踏み込み具合」が試されているのだと改めて感じた。 

生活保護。

2013年01月17日

 生活保護の減額が具体的になってきた。
自分自身の人生を振り返っても、このことについて言及するのはいささか気が重くはあるのだが、少し気になっていることを述べたい。

 今回、いわゆる「低所得者世帯」と「生活保護世帯」の所得の逆転現象があるという指摘を受けて、厚生労働省が検証した結果、子どもを持つ世帯を中心にして、その現象が顕著であるというような結果が出された。

 よって、支給額の多い分を減額する、という論理になるようだ。

 しかし、私が一番懸念するのは、「負の連鎖」である。
そもそも、この比較は、全世帯のうち、収入が最も低い層、年収ベース約120万という層において行っている。
率直に言えば、子どもが二人いる4人世帯の場合、それは生活保護を受給していようとしていなかろうと、年収120万ではまさに日々の生活に手いっぱいで子どもの教育面などに対してはなかなか満足なことをしれやれないのではないかということだ。

 「より低いほうに合わせる」という手法で憲法が保障する「最低生活水準」が見直されていくことで、低所得者世帯と生活保護世帯の不公平そのものは是正されるのかもしれないが、「家庭の所得格差と子どもの教育格差」の問題はむしろ拡大するのではないかと私は懸念している。

 不正受給をする親がいる。
働かない親がいる。

 そのことは厳然とした事実として対処・対応をしていかなくてはいけない。
しかし、そのことと、「子どもの教育」は別問題だ。

 私はアベノミクスによって、仮にインフレ政策が実施されていけば、都市と地方の経済格差、高所得者層と低所得者層の所得格差は拡大すると思っている。
今回の生活保護減額は、低所得者層の所得を引き上げる効果を持つものではなく、低所得者層の所得をより引き下げる効果を持つだろう。
そのことの是非を置いても、せめて、どの地域の、どの世帯の子どもでも、教育だけは十分に受けさせてやりたいものだと思う。

 今日、この秋田の地で江戸時代から連綿と続けられてきた「感恩講」の新たな学び舎の竣工祝賀会にお邪魔をさせていただいた。
「恵まれない」という表現はあまり言い方ではないのかもしれないが、こうした子どもたちを救済していこうという民間発の事業が平成の今日まで続いていることは、秋田の誇りであるし、こうした「生活保護減額」といった殺伐としたニュースが巷にあふれる中で、日本人が失いつつあるとても大事なものにふれさせていただいた気がした。

 

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沼谷 純はこんな人!

昭和48年3月
秋田市生まれ。仁井田育ち。
平成7年4月
秋田県庁入庁、企画調整課配属。
平成22年12月
政治を志し、秋田県庁を脱藩!
(退職)
平成23年4月
秋田県議会議員に初当選。
現在3期目。
令和3年2月
秋田県議会議員を辞職し、秋田市長選挙に挑戦。
令和5年4月
政治家として再始動を決意。
現在
秋田市横森在住。

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