1カ月に及ぶ2月議会が終わった。
終わってみれば、予算も人事も組織再編も、全てが県当局の提案どおり可決された。
民主党会派としては、観光分化スポーツ部については反対したものの、多数決により、可決。
反対理由は、端的に言えば、佐竹知事の言行不一致に対して、である。
2月議会中、知事は「観光は民間が主導で、県庁はそれに協力する立場。それを民間の方々が履き違えている」と堂々とおっしゃった。
民間に頑張っていただくのは当然のことだが、今、秋田の産業経済は疲弊し、雇用の場は少ない。
その中で、多額の税金と、マンパワーをかけて観光振興に向かうなら、せめて、知事としての責任と覚悟を示していただきたかった。
協力する立場、などと言う方は、もしそれで成果が出なかったときも、民間の努力不足だ、などと言いかねない。
佐竹知事は組織を作ることが目的化しており、成果が出なければ民間のせい、円高のせい、震災のせい、であり、少しでも成果がでれば、それは自分の手柄だ、と言わんばかりの(実際言っているのだが)姿勢が目立つように私は感じる。
責任もリスクも取らないリーダー、であってはならない。
残り任期は1年。
結果責任は全て負うつもりで県政運営に当たってもらいたい。
それはそれとして。
県議会側にも責任がある。
私自身、力不足を痛感する2月議会だった。
問題は山積みの予算案だったし、煮詰まっていない事業や、将来にわたって大きな財政負担となる事業も多かった。
それでもなお、それらの予算を全て通してしまったのは、議会全体として力不足、踏み込み不足と言わざるを得ない。
結局、6000億の予算事業が全てそのまま通るということは、どんな意見を言おうと、指摘をしようと、ダメ出しをしようと、それらは所詮全て「教育的指導」の範疇に過ぎない。
予算案の修正という「判定」をせずに、「教育的指導」をするだけなら、県民の皆さまからはいつまでたっても県議会の役割は不明確なままだろう。
私自身、反省も含めて言えば、予算案の是非を判定するのは確かに難しい。
難しさの最大の要因は、県の財政や財源について、議会側が十分な知識、確かな見通しを持てていないことにある。
今回の予算でも、医療費助成をはじめ、多額の財源を必要とする事業があっても、「財源はちゃんと確保できます」と言われれば、それ以上議論が深まりを見せない場面が多々あった。
集中と選択、という言葉が言われて久しいが、今回の県予算はその言葉からはほど遠い。
しかし、あれもこれも、どれもこれも、「財源はちゃんと確保できましたから」と言われれば、「やるな」、「やらなくていい」と言うことが難しい。
手元に1000円がある。
500円の本と、100円のジュースと、400円の弁当を買おうと思う。
本もジュースも弁当も、「いらない」と言う人はなかなかいない。
お金があるなら買ったらよいだろう、と大抵の人は言う。
しかし、1000のうち、200円が人から借りたお金だったらどうだろう。
ジュースを諦める、とか、弁当ではなくパンにする、といった判断が出てくるだろう。
借りたお金を返すのが、3カ月先だったらどうだろう。
また判断は変わってくるかもしれない。
今の県議会の議論は、弁当の中身や本の種類を議論しているようなもので、本を買うのをやめてむしろ貯金に廻せ、という議論はできていない。
個別の議論に終始している。
これは大きな課題だ。私自身にとっても。
いよいよ、議員として2年目を迎える。
2年目はこうした県財政全体を見渡す力を身につけ、弁当の中身ではなく、弁当よりパン、とか、本当にお腹がすいているのか?といったような、「要不要の判断」ができるようにしていきたい。
もっともっと力をつけなくては、自分が目指すものは達成できない。
まだまだだ。
悔しい2月議会であった。
昨日、同僚議員である小原くんが、今年度2回目の総括審査に臨みました。
不眠不休で、という言葉が大げさではないほど、今回の佐竹知事との質疑のために多くの準備をしてきたぶんの成果はあったのではないかと思います。
同じ1年生議員である私が言うのもなんですが、私や虻川議員と違い、行政や政治とは全く無関係な世界で生き生きと生きてきた、そこで成果を出してきた彼にとって、行政というものがいかに難しく、言葉や思想という武器で何かを実現していく政治という仕事がいかに地道なものであるか、つくづくと思い知らされた1年だったのではないかと思います。
まだ若いくせに涙もろい彼は、退職される県庁幹部の方々の挨拶に涙し、小学校の卒業式に行っては涙し、深夜に私と議論して私に罵倒されては涙し(決してイジメではありません)、そのくせ開き直ると私よりもずっと堂々と人前で話したりするので、同僚として、男として、人間として、なかなか興味深く見守ってもいます。
少し話が脱線しましたが、彼が取り上げたいくつかの話題のうち、地元新聞で報道のあった「医療費助成より両立支援」について、少しだけ補足をさせていただこうと思います。
今回の予算案で提案された子どもの医療費助成の拡充、そのことそのものが悪いことだとは言ってはいません。
しかし、今、子育て環境という面で一番取り組みが遅れているのは、「育児と仕事が両立できる環境づくり」であると彼は訴えました。
医療費助成は経済的支援の一環でありますが、これは子ども手当(名称変わります)や、保育料助成など、様々な形で実施されている一方で、両立支援は国も県も、取り組みが遅れていると言わざるを得ません。
ここで言う両立支援、とは、たとえば、「子どもがいても働きつづけられること」、「子どもが病気になっても会社を休んだりせずにとりあえず保育所などで一時保育や病児・病後児保育をしてもらえること」、「お父さんとお母さんが、どっちが子どもを迎えにいくか、どっちが病院に連れていくか喧嘩したりせずにすむこと」(ちょっと平たい表現過ぎますが)などです。
このためには、保育所の整備、一時預かりなど育児サポート体制の整備、企業への支援制度の充実などが挙げられますが、小原くんは、今回の医療費助成拡充の予算があれば、こうした両立支援のための政策をいろいろやってもお釣りがくる、というようなことを訴えておりました。
おりました、というのはやや無責任な表現で、当然、事前に会派内で、大きな質問の方向や内容などについて会派で相談したりしますので、あらかじめアウトラインは聞いていました。
佐竹知事は、小原くんの「医療費助成より両立支援に予算をまわしてほしい。子育て世代が一番求めているのはそういう働き続けられる環境だ」という主張に対し、「私は両立支援より医療費助成のほうがわかりやすいし、やりやすいし、喜ばれると思う。」と答えました。
正直、これじゃあ両立支援が進むわけはないな、とやや愕然としました。
医療費助成は確かに解りやすい。
病院に行って1000円で済む、という目に見える効果があります。
そしてまた確かにやりやすい。
県としては現金をただ助成するだけ、お金で解決する問題だからです。
そして、喜ばれることも確か。
しかし、これは、両立支援の充実よりも喜ばれるかどうかは定かではありません。
特に女性が、出産・育児を経ても、辞めずに働きつづけられること、そして男女ともに、育児をしながら会社や組織の中での役割をしっかり果たしていけること、こうしたことを実現するには直接・間接含めていろいろな制度や対策が必要で、非常に難易度の高い行政課題です。
しかし、難しいから、大変だから、わかりづらいから、といって安易な施策に流れてしまっては、結局、根本的な解決には至りません。
医療費助成を含めた経済支援は、対症療法。それこそ病気になって医者に薬をもらうようなものです。
しかし、育児と仕事の両立支援は、予防。病気にならないような健康づくりのようなものです。
小原くんと佐竹知事の質疑を通して、今の県政が「対症療法的な、解りやすく簡単なほうへほうへと流れていっているような危惧」を強く感じました。
さて、そんなこんなで午前3時。
明日(今日)の登壇に向けて、一夜漬けで原稿を作成していましたが(議会日程の関係でどうしても一晩で書き上げないといけないもので手抜きではありません)、体力の限界により、一端仮眠をとり、朝から再び原稿に向かいます。
皆さま、おやすみなさい。
今日から総括審査が始まっています。
本来ならそのことについて書くところですが、それは明日にして、今日は別のこと。
今日の地元新聞に、議員の海外出張(調査)についての記事がありました。
この記事について、事実的なこと、私の想いを少し書かせていただこうと思います。
まず、第一声は「よくぞ、このことを取り上げてくれた」です。
そのほかにも、これまで鋭い視点での記事を書いていただいていましたが、今回の記事もまた、これまで以上に「よくぞ」と思える点があり、本当は、「叩かれれる」立場にいる私ではありますが、一県民としては、とても良い指摘をいただいたと思っています。
私がこの場で述べることではないのかもしれませんが、県政や県議会を県民の皆様に「ひらいて」いきたい、開かれたものにしたいという私の想いは、こうした記事などを県民の皆様が目を通すことでわずかでも実現されている部分があるのだと思っています。
さて。
話を戻し、議員の海外調査。
私たち県議会議員に年間一人300万の政務調査費があることはすでにこの場で何度か書きました。
民主党会派としては、300万は要らない、減らすべきという提案をしていますが、目下、300万です。
この政務調査費では、当然、県内でも県外でも海外でも、政務調査のための旅費などをねん出することができます。
わかりやすくいえば、「秋田はこれから自然エネルギーでメシを食っていくんだ。その先進地を見て、学び、次の政策につなげていきたい。」と思って、ドイツに行くのも自由だし、その往復の航空券代と、現地の交通費や宿泊費を出すことはこの300万の中で認められています。
問題はここから。
この一人年間300万のほかに、4年の任期の中で、一人80万円の海外調査費が別途、用意されています。
80万年上限で、4年のうちに2回、この別費用で海外に行くということが議員には許されています。
このことは、民主党会派は、選挙前から問題視していました。
十分すぎるほどの政務調査費があり、それで海外調査も行けるのに、なぜ、それとは別に海外調査の費用が用意されていなければならないのか。
これは他県ですでに廃止されているところも多く、本県でも廃止すべきではないか、と。
民主党会派からは、議会の場でもこの海外調査費の廃止を訴えてきましたが、他会派の同意を得られず実現しませんでした。
この2月議会で、当会派が「議員報酬も、政務調査費も、議会事務局の経費も全部含めて議会費全体の20%カットをしたい」と提案した中には、当然、この海外調査費も含まれています。
当会派は、この海外調査費を使って海外調査に行くことはしない、行くとしても自分に支給された本来の政務調査費を使っていく、というある種当たり前の取り決めをしているので、この海外調査費は現在の3人の議員は使っていません。
今後、このことは他会派の意見を聞きながら議論していくことになりますが、改めて、強くこの海外調査費は廃止したいと思います。