先週水曜日から開会した6月定例会。
明日から一般質問や常任委員会など、議会の「審議」や「チェック」、「提案」という最も重要な役割を果たす場面が目白押しです。
今回は一般質問に立つ多くの議員が、震災対応や防災計画の見直しなどについて質問をするようです。
さきの5月臨時議会での議員報酬カットをめぐる議論の際、「震災復興のための財源は、(議員報酬のカットではなく)県財政全体の問題として今後議論すべき」と論陣を張り、震災前と同額の5%カットにとどめた自民党会派には、今回の一般質問などで、その「財源問題」についても議論する姿勢が当然求められます。そうでなければ、5月臨時会での発言は、単なる「先送り」や「責任転嫁」ということになりかねません。
私を含め、今回、民主党会派は一般質問を行いませんが、この一般質問の内容、知事の答弁などを聞いた上で、6月議会の終盤に予定されている総括審査に臨みます。
自己満足ではない質問、自画自賛ではない答弁を期待したいと思います。
また、水曜日に予定されている議会運営委員会では、議会の年2回制について最終判断が行われます。
とは言え、態度を保留しているのは当会派だけですので、ドライな言い方をしてしまえば、当会派が賛成しようと反対しようと、年2回制になることはほぼ間違いありません。
しかし、2回制を提案した自民党会派、そして、それに積極・消極問わず「賛成」の意思を示した他会派には、もう一度、そのメリット・デメリットをよく考えてもらいたいと思います。
議会が4回でも2回でも、休会でも閉会でも、知事が招集しようと議長が招集しようと、そんなことは県民の皆さんにとってはどうでもよいこと。
要は、2回制にして、議会が活性化した、議論が深まった、政策提案が出てきた、といった「見える効果」があるかどうか、が問題です。
所詮、多勢に無勢、と諦めず、その点をもう一度議論した上で、効果がないようなら無勢であっても反対に回らなければならないと考えています。
「オトナの対応」をすべきかもしれませんが、「オトナ」と「諦め」は紙一重とも言えますから。
話は変わり、最近、新聞報道などで「震災復興特区」が話題になっています。
被災地である宮城県は「水産業復興特区」、そして、岩手県では「国際科学技術研究特区」を提案しており、それぞれ、漁業への民間企業参入や、海外の研究者を呼び込むための様々な規制緩和などを求めています。この復興特区は、被災地だけではなく、被災地と経済的・地域的な結びつきが強く、震災の影響を受けた地域も対象になるようです。
本県でも、この復興特区の対象地域になるように働きかけ、同時に、本県から大胆な特区提案がなされるような準備・立案を進めていかなければなりません。
数日前の朝日新聞には「1国2制度」の意気で復興特区を推進すべき、との記事もありました。
この言葉、某知事が数年前に盛んに使っていました。税制や高速道路の料金制度など、なにも全国一律じゃなくてもいいじゃないか、秋田は別の制度・料金体系でもいいじゃないか、と。
多選禁止条例と同様、「今でこそ普通」の、しかし当時は「早すぎた」提案、当時はよくあったのですが、ブレイクスルーには至りませんでした。
しかし今、この秋田の現状・閉塞感を打破するには、「最大公約数」を強く意識した政治や政策では難しいのかもしれない、とも最近感じます。
言う立場にないことを承知で、一人の有権者として言いたいことがある。
今日、自民党の衆院秋田一区支部長が決定したとの報道があった。
選考の過程は報道などの範囲でしか知らないが、複数の県議の名前が挙がった、と聞く。
また、「若い人に」といった意見もあったようだ。
今、我が国は揺れている。地震は収まったが、日本という国の揺れは未だ収まる気配はない。
エネルギー政策の見直し、社会保障の再構築、消費税をはじめとする税制の抜本改革など、日本が日本であり続けるために取り組まなければならない問題に対して、処方箋を決定できていないからだ。
いずれも、簡単に決められるものではない。
しかし、最も重要なことは、決定するのは「今」であっても、その決定によって影響を受けるのは「将来」であるということだ。
私たちが今、決定することが、今の私たちの意思が、将来の世代や将来の日本を決めていく。
江戸時代を終わらせ日本を開国に導いた明治維新、そして、日本を経済大国に押し上げた戦後復興、こうした時代の転換点に、まさしく3.11以後の日本が直面している。
こうした時にこそ、将来に対して責任を持つ世代、将来を生きる世代の代表に頑張ってもらいたいというのが私の偽らざる心境だ。
国政・県政問わず、政治の世界にベテランと呼ばれる人や重鎮と呼ばれる人、利益誘導型の古い政治を志向する人はまだまだ多い。
そうした中で、数少ない「将来世代」にこそ、踏ん張ってもらいたいし、自分もそうでありたいと思って、私は政治の世界に飛び込んだ。
未来は「在る」ものではなく「創る」もの。創造の過程に、未来を生きる若者が堂々と加わって良いはずだ。
さきの県議会議員選挙で、民主党秋田は、私も含め、本当の意味で全くの政治の素人、「新人」を、そして、「若い人間」を県内各地に擁立した。
結果はさておき、その理念は「将来の秋田を創るのは、将来を生きる若い人間が責任を持って当たるべき」ということであったし、多少の無理や軋轢を超えてでも、そういう形で民主党秋田が候補者を擁立をしなければ、秋田に新しい風は吹かないと思った。
事実、自民党からは、この10年、親から地盤等を受け継いだ新人などを除けば、純然たる新人は出ていない。
政党とは関係なしに、今のこの国難を乗り切り、日本を再生するための方策は、前例や慣習や実績ではなく、挑戦や可能性や改革にこそあると私は思う。秋田についても同じことが言えるのではないか。
だから、今日の自民党秋田の決定は、一有権者として残念な思いがあるし、「若い人間にやらせてみるか」、「これからの人間を応援しよう」といった決定だったならどんなに良かったろうか、とも思う。
民主党会派が提案する一連の議会改革についても、どうもこれを会派の思惑・戦略と捉える方もいるが、そのような小さい視点ではない。むしろ、新人議員が集まって、あるいは若い人間が集まって、党派を超えて1つの改革案をまとめあげるような、そんな秋田県議会にしたい。
どれほど県民の皆さんが喝采してくれるだろうか。
今日、生まれた赤ん坊が、成人を迎えるときに、バトンをちゃんと渡してあげられるような日本、そして秋田を創りたい。未来に対して恥ずかしくない決断と行動をしていかなくては。
社員A 「今までうぢの会社は会議時間は毎回1時間って決めてダスけど、これがらは2時間って決めるすべ。なんたふうにして会議進めるか、社員の人だぢの負担をなんとするが、そういうごどは後から考えるすべ。」
社員B 「いやいや、1時間だばなしてダメなのよ?2時間にしたって会議の中身が良ぐならねば意味ねしゃ。会社のためになるが、お客様のためになるが、社員の負担なんとするが、そういうごど考えねで、ただ2時間にせばいってもんでねしゃ。」
いきなりこんな会話から始めてしまったが、県議会の会期を見直す、という議論の論点は、単純に書けばこういう会話になる。会議時間=開会日数、と読み替えていただきたい。
今日開かれた議会運営委員会で、こういう議論がなされた。
時間枠を決めてしまってから中身を決めよう、というから誠に珍妙な話なのだが、残念ながら、民主党会派を除く全会派が「社員A」の立場を取った。
社員Bは当会派のみ。
自民党ほか他会派は、今日、定例会を年2回とすることに同意した。
当会派は、判断を保留した。
メリット・デメリット、何が変わり、何が県民・県政にとってプラスになるのか、を冷徹に判断しなければならない。 「中身」が本当に充実するのか、議員自らが充実させる気があるのか、単なる県民に対するパフォーマンスやアリバイ作りと映らないか、といったことも含めて。
なんとなく「改革的」で、なんとなく「前向き」な雰囲気に流されるときほど注意が必要だ。他の先進議会のマネをして、スタイルだけ取り入れて「改革的」にやろうとしても、それが真に改革とはならないという悪しき先例になるのではないか。危惧している。
また、自民党会派は、前回の議会運営委員会において当会派から提案した改革項目について、何の検討も行っていなかった。
「中身」の議論をせずに、自らの主張である「器」にだけこだわって、他の意見や提案を顧みないという姿勢であるならば、これこそまさに数の暴力と言わざるを得ない。
もう1つ。
当会派が提案していた「一般質問の分割方式」。
30分も議員が質問原稿を読み上げ、知事がそれに延々と答えるというスタイルは、聞いている県民にとって、誠に聞きづらく、質問と答弁が一対にならない。
が、この提案に対して返ってきた言葉にも苦笑せざるを得なかった。
「30分も自分の想いをしゃべり続けられるのは議員として本当にありがたいこと」
「一度も一般質問をやったことがない人間が、今のやり方を変えるというのはまだ早い。」
これこそまさに県民不在。
10時間話そうと、1分も聞いてもらえなかったら意味がない。伝わらなかったら意味がない。
やったことがない人間だから、普通の県民の目線で言えること、感じることがある。
議会が、議会の論理、数の論理にとどまっている限り、議会と県民の距離は縮まらない。
しかし、全てが空振りではない。
当会派から提案をした「議員賛否の公開」や「議員間討議の導入」は議会の合意が図られた。
「政治とは、情熱と判断力の2つを駆使しながら、堅い岩に力をこめてじわっじわっと穴をあけてくり貫いてていく作業である。」
マックス・ウエーバーの言葉を思い出しながら、明日からまた頑張ろう。